困り顔。 ページ31
「ただい、ま。」
･･･古城に戻るものの、いつもより人気のないその古城。8人でも広すぎたその古城も今となっては3人。妙に響く足音や床の音。扉の開閉音が、孤独をより一層感じさせた。
「リヴァイ？私よ。」
扉を開けるとリヴァイは資料をひたすらとこなしていた。だが、その雰囲気は重く、魂さえ抜けているような仕事のこなしようだ。
「今日くらい休めばいいのに。」
レオナはリヴァイの横に座り、書類を覗き込む。相変わらず几帳面で綺麗な文字は沢山の報告書に文字を刻んでいた。
静まり返った部屋にノックがなった。
「私だ、ナナバだ。」
「あぁ、ナナバ。どうぞ。」
レオナが返事をするとナナバの整った顔が扉からのぞかせた。
「兵士長さんはこんなときも仕事かい？アルマからだよ。身元調査書。」
「あら、アルマが？珍しい。」
「あいつらにできることはこの位。とか言ってたよ。本当に仲がいいんだね。」
ナナバが困り顔で笑い、言葉を続けた。
「ウォールマリア周辺の出身者の名簿は事務から直接持ってくるってさ。管理がぐちゃぐちゃっぽいね。」
「了解。ありがとう。」
レオナがナナバと目を合わせると、ナナバは思い出したように言った。
「そういえば、ゲルガーがまた呑みたいってさ。」
「アレは幹部呑みにゲルガーが入ってくるだけでしょ。」
「そうとも言うな。」
ナナバは高らかに笑う。壁外調査で仲間を失ってもこうやって立っていられる。レオナたちを気遣っているのだろう。
「今回は王都召喚の後になりそうだけど、それでいいならエルヴィンに伝えておくよ。」
「あぁ。じゃあ私はいくよ。そこの兵士長さんも休みなよ〜。大事な姫君が困り顔じゃ駄目だろ？」
ナナバは書類を全部おくと、すぐに手をひらひらさせて帰っていった。レオナは余計なことを！を毒づきながらリヴァイのほうを見やる。リヴァイは顔を上げ、レオナをまっすぐ見ている。
「ナナバのこと気にしなくていいよ。」
「･･･レオナよ。」
リヴァイはレオナの声をさえぎりながら言った。
「俺はまだ弱いか。」
「そんなわけない。」
レオナはリヴァイのほうへ歩み寄る。するとリヴァイはレオナの腕を引き寄せ、そのまま自らの腕の中に閉じ込めた。リリーを亡くした日がフラッシュバックする。副兵長になった今でも変わらない。仲間を失うのには慣れなんて無いのだ。
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小西 利音(プロフ) - ナルさん» コメントありがとうございます！ミルミハになってました？！すみません指摘ありがとうございます (2019年7月3日 2時) (
レス) id: 0660aea05f (このIDを非表示/違反報告)
ナル - すごく面白かったです！！更新頑張って下さいあと、ミルミハ区ではなく、エルミハ区ですよ!! (2019年6月21日 17時) (レス) id: 4a1c354212 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小西利音 | 作成日時：2017年4月11日 12時
