※ ページ43
「ヌナ、ヒョンこれからだよ、くんの」
背を丸めていたミンギュくんがピン、と背中を伸ばして
席を立つ私を不思議そうに見る
「あー、また来るね」
「…。ヌナ、なんかあった？」
勘のいいミンギュくんのまっすぐな目線なんて
耐えられるわけないんだ
「ごめん、行くね。また今度」
もう見慣れた
店の扉を強引に開いて店の外へ出る
「…。」
塾への道を歩きながら
胸に何かグスグスするものを感じる
…そうか。
私また逃げたんだ
「…授業、出よ…」
残り30分だとしても、
今出ないと、
自習なんかじゃ私の中のグスグスは消えない気がしたから。
グレーの無機質なコンクリート像の校舎に入ると
外とは違い、ぬるっとした空気が全身を覆う
…気持ち悪い。
少し顔をしかめつつ
自分の教室へと向かう
どの教室にもついてる
必要な機能ギリギリの
なんの遊び心もないドアを静かに開けると
授業は既に演習に入っていた
教室に入った途端
生徒たちが横目で見て来る
あくまで横目で。
一番目立たない後ろの端っこに座り
教科書とノートを取り出す
「…アラ、今どこやってる？」
小声で斜め前の席に座るアラに聞いたのに答えは返ってこない。
ドクドク、と嫌な血が全身を駆け巡って
嫌な予感ばかりが頭を掠める
聞こえなかっただけかもしれない、
そうは思ってももう一度アラに声をかける勇気なんてなかった。
何とか保っていた私の世界は傾いていく
※
講義が終わったところで
いつものようにアラが「帰ろー」と寄って来ることはなくて
静かにマフラーを手に階段を降りる
グループになって帰る子達をドア越しに見て
惨めな気持ちになる。
そんなとき、軽快な音楽が着信を知らせる
画面を見るとスニョンくんだ。
少しもやつく心を抑えて電話に出る
「もしもし？」
「あ、Aちゃん！」
「うん、スニョンくん」
「塾、終わったかなって。よかったら来ないかな？」
いつもと変わらない優しい声
携帯を手に笑顔で話すスニョンくんが想像つく
今日のことだって、スニョンくんは何も悪くないんだ
「…。」
「…Aちゃん？聞こえてる？」
行こうかな、と少し気持ちが傾いたとき
「おいおい、誰だよスニョンよー！」「女かー？」「ひゅ〜〜〜！」
賑やかな声がワッと耳に飛び込む
「ごめ、今学校の奴らきてて…でもAちゃんには迷惑かけ、」
自分でもよくわからなかった。
気付いたら赤い丸に触れていた
またしてもわたしは、
※
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ぴょん(プロフ) - 短編集からきました！まだ途中までしか読んでないですけど、良すぎて読み切ったら終わっちゃうのが悲しいです、私水名さんの作品めっちゃ好きです、素敵な作品を残してくださってありがとうございます！！作品の途中なのに伝えたくなるくらい気持ちが先走りました😭 (2022年11月17日 2時) (
レス) @page45 id: 0051795449 (このIDを非表示/違反報告)
水名(プロフ) - ピョナさん» ピョナさん 凄くコメントに助けられました。ありがとうございます。ようやく完結できました。 (2022年2月20日 3時) (レス) id: 539b1ce7fb (このIDを非表示/違反報告)
水名(プロフ) - caraさん» caraさん ありがとうござます。また見ていただくチャンスがあればと願っています。 (2022年2月20日 3時) (レス) id: 539b1ce7fb (このIDを非表示/違反報告)
水名(プロフ) - テイさん» テイさん 嬉しいコメントありがとうございます、すぐに完結させられずすみませんでした。また機会があったら見て欲しいです。 (2022年2月20日 3時) (レス) id: 539b1ce7fb (このIDを非表示/違反報告)
水名(プロフ) - キヌさん» キヌさん ありがとうございます。コメントを見てなんとか完結させる気を起こしました、笑 (2022年2月20日 3時) (レス) id: 539b1ce7fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミナ
| 作成日時：2016年2月22日 16時
