忘れられない少女の話【鬼滅の刃】

5.鎹鴉 ページ6

消えゆく鬼にそう一礼して、私は背後を振り向いた

すると、どうやら丁度銀子ちゃんが降りてきたところの様で



「銀子ちゃんだ、銀子ちゃん！」

「本当ニ五月蝿イワネ、アンタ」



悪態をつかれつつ時透くんと銀子ちゃんに近づくと、二人の後ろの草むらが微かに動いた

そして、その草むらから突然音もなく黒い影が飛び出す



「時透さん、銀子ちゃん！！」



二人が危ないと私の勘が叫んだ

時透さんを蹴り飛ばし、銀子ちゃんを庇う様にして抱きしめる


蹴り飛ばしてごめんなさい、時透さん



「はっ…！？」

「チョット！」

「うぐっ」



背中を裂かれ、とんでもない痛みが背中に走る


あ、これ確実にしのぶ様に怒られてしまう

それに、前田さんに新しいの頼まないと…



「ほんと、何なの！」



時透さんが怒りを露わにする様にして刀を抜き、鬼の頸を斬る

それを確認した私は、銀子ちゃんを離す



「アンタ、ナンデ…」



悪態をついてくる筈の銀子ちゃんが、少し沈んだ声色で話しかけて来た


何だ、やっぱり良い子だ

ちょっと毒舌なだけで、ちゃんと優しい子だね



「…私の鎹鴉、今怪我で蝶屋敷にいるんです」



私のことを庇って、羽根を怪我した子

私ならすぐ治る怪我、それを小さいあの子が受けた

全治１ヶ月、下手したらもうあの子は飛べなくなっていたとしのぶ様に言われて…



「優しい子なんだよ」



あのまま斬れば私も怪我はしなかっただろうけど、咄嗟に刀が抜けなくて

もしもまたこの子達が怪我をしたら嫌で

銀子ちゃんが怪我をするのは、何だか尚更嫌だった

最後の足掻き、とかしてくるもん。鬼ってさ



「だからって言うわけじゃないけど、銀子ちゃんまで怪我しちゃ嫌だから」

「……フンッ…バカネ、アンタ」

「銀子ちゃん泣いてる？」

「誰ガアンタノ為ニ泣クノヨ！」

「えぇっ、ちょっと仲良くなる雰囲気だったのに」



悪態ついてるけど、ちょっと泣いてる


とりあえず頭を撫でてみると、普通に大人しく撫でられてくれた

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