忘れられない少女の話【鬼滅の刃】

24.味 ページ25

「…何か、変な味…」



部屋に戻り、早速頂いたすあまを食べてみた

だが、想像とは全く味が違う

蜜璃様から教えて貰った様な優しくふわっとした味でもなければ、根本的にお菓子の味とは遠くかけ離れていた


“変な味”としか表せなかった


……いやそんな事を言ってはいけない

…でも、やっぱり変な味がする…何というか、鉄みたいな味がするというか



「時透さん、ちょっとこれ食べてみて貰えませんか？」



そう言って時透さんにすあまを差し出す



「変な味がするって言った舌の根がまだ乾いてないよね、今自分がなんて言ったか理解してる？」

「あはは、良いじゃないですか。食べるだけですよ」



結局“嫌だよ”と即答で返されたので、仕方なくしのぶ様に相談した

するとしのぶ様は、すぐに玄弥くんという子を呼んでくれた。何でも岩柱様と少し接点があるとかないとか

何でも味覚が鋭いらしい

それと近々鬼殺隊に入隊する為、最終選別に参加する腹づもりとの事



「これなんですが…」



来てくれた玄弥くんにすあまを渡す

すると、玄弥くんは躊躇いもなくすあまを食べた


何処かの霞柱様とはえらい違いだ、変な味がするのを知っていて食べてくれた



「確かに変な味が…いや、Aさんそれ食べないで下さい！！」

「え？」

「これは…食べないで捨てた方が良いです」

「え、でも…勿体ないですし」

「なら、俺が預かります」

「…そうですか？分かりました」



わけが分からないまま、私は玄弥くんにすあまを預けた


食べるなって…私ちょっと食べちゃったよ

毒とかだったらどうしよう…いや、それなら玄弥くんも慌てるか

まず毒の味なんて分かんないだろうし



「それで、変な味の正体は…」

「…誰から貰ったんですか、これは」

「えっ、あぁ…名前は分からないのですが、同じ鬼殺隊の方に」



そう言うと、玄弥くんは少し驚いた様な…寂しそうな顔をした



「そう、ですか…じゃあ、その人には気をつけた方が良いです。多分」

「…分かりました？けど、味の正体は…」

「じゃあまた」

「え。……え！？いや待って下さい玄弥くん！」



結局詳しいことや味の正体は教えて貰えないまま、玄弥は部屋を出て行ってしまった


何だか詳しくは教えたくなさそうだったし…

何より苦悶の表情を浮かべていた

それがどうにも引っかかって、しのぶ様の診察から戻った時透さんが私を見てどんな顔をしていたのかも、よく見ていなかった

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