忘れられない少女の話【鬼滅の刃】

20.しのぶ様 ページ21

結局、アオイさんに蝶屋敷へ強制連行された

今はしのぶ様に治療を受ける寸前、隊服を脱ぎ患部である脚をしのぶ様に見せている


あぁ、物凄く見せたくない



「…Aさん。この肉離れ、昨日のものではありませんね」

「…いやぁ」



速攻でバレた

それはそうか、医学知識の豊富なしのぶ様を騙せる訳がない



「…実は、２日前のものでして…」

「悪化、していますけど」

「えっ」



そこまでバレている…？

なったばかりの時の患部は見てないのに


驚く私、呆れるしのぶ様

しのぶ様は一つため息をつき、新しく湿布を貼ってくれた



「無理に動かしましたね。いいですか、Aさん。今日から五日間お休みをしてください」

「それは嫌です」



即答する私に、注射器を取り出すしのぶ様


待って下さい、それを私に向ける前に少し話を聞いて



「時透さんが前線に復帰できていない今、私まで休むと他の方への負担が更に重くなってしまいます。私はまだ動けますから…」

「時透くんはあと１週間もすれば完治します。それに、Aさんは時透くんの任務、そしてあの戦いで負傷した隊士達の任務を少し受け持つ形で任務を与えられています。今までの私達柱の負担は、特に変わっていません」



あの戦い、とは時透さんが隊士を庇いながら戦いボロボロになった時の任務の事だろう


つまり、私はあの戦いで負傷した人達の受ける筈であった任務を毎日毎日…

え、何か私だけ損していないか？



「現在、柱はほぼ全員遠出の任務に向かっていますからね」

「…なるほど」



まあ、そう言う事なら私の負担が大きくなるのも頷ける

しのぶ様は蝶屋敷の管理があるので遠出の任務は行えない様だが、他の柱の方々はそう言う訳ではないし…



「丁度本日、甘露寺さんや宇髄さんが任務を終わらせて帰ってきていますので、安心して休んでいただいて大丈夫です」

「…分かりました」



渋々了承して、私は椅子から立ち上がる



「Aさんはいつも私達に負担が掛からないようにと頑張ってくれていますが、たまにはしっかり休んで下さい」



そう言って少し困った様に微笑んでくれるしのぶ様は、本当に私を心配してくれていた


こんな私にも優しいから、私は柱の方々に負担をかけたくないんだ

死んでほしくないと願ってしまう



鬼殺隊である以上、叶わない願いであるのに

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