忘れられない少女の話【鬼滅の刃】

18.特別 ページ19

「肉離れですね…やはり、任務には行かない方がよろしいと思われます」

「そうなんですが、柱が欠けている今私まで任務に行かないわけには行かないんです」



適切な手当てをしてもらい、何とか笑って返事をする


あぁ、気まずい

きっと、あんな場面を見てしまったからだ


思い返すだけでも胃がキリキリする


彼女はいつも好きな人と一緒に居る私を何とも思わないのだろうか



「…霞柱様から、何かお聞きになられましたか？」

「え、あっ、いえ。そういう訳では…」



言い淀み、目が泳ぐ

それを彼女は見逃してはくれず、苦笑しながら“良いんですよ”と言った



「元々、無理だと思っていましたから。諦める為に、告白したようなものです」



何処か憂いた目をしている彼女に、何か声をかけたくなる

きまりの悪さから出てくるその感情に呆れを感じながら、彼女を慰める言葉を探した



「…時透さんは、“鬼殺隊だから”と言いました。もし、鬼舞辻を倒す事ができたら」



彼女は首を横に振る



「それでも無理だと思います。霞柱様はきっと、A様を選ばれますから」

「…私、ですか？」

「はい。霞柱様からすれば、A様は特別です」

「そんな訳ないですよ。私だって、時透さんからすれば…」



きっとただの鬼殺隊士

契約者

彼からしたら、私は友達でも何でもない


きっと１ヶ月も会う事がなければ、また私達の関係は始まりに戻る

私と時透さんの関係には“差”が出来る



「私からは、そう見えましたよ」

「…」

「では、もうお休みになられて下さい」



“お休みなさい”

彼女はそう言葉を残して、部屋を出た

19.湿布→←17.偶然という名の必然

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す