15.友達 ページ16
「時透さん」
「………あぁ、A」
裏山を下り、部屋に入ろうとする時透を引き止める私
暫くぼーっと私を見つめ、今思い出したかの様に口を開いて私の名を呼んだ
…いやまさか
「何ですか、今の間は」
「…久しぶりだから、名前忘れてた」
…長らく一緒にいる私も、1週間一緒に居ないだけで名前を忘れられるらしい
初めて会って次の日忘れられるのは仕方ないし、毎日会っていてもまだ1ヶ月も経ってない内に忘れられるのも仕方ない
どれだけ悪態を突かれてもそれも仕方ないと割り切れる
けど、やっと私の存在が時透さんの頭に定着する程仲良くなれたと思ったら、1週間で名前を忘れられるっていうのは少し傷付く
仕方ないし、我儘かもしれないが傷付くものは傷付くし、時透さんからしたら私はまだまだ知り合い程度なのかもしれないなあなんて思ってしまう
取り敢えずモヤモヤする
「…まあ良いです、仕方ありません。私が代わりに覚えるので」
元々そういう契約なんだ
時透さんに覚えさせてどうするんだ
「それより、早くベッド行きましょう。まだ傷も治り切ってないんですから」
部屋へ続く扉を開け、時透さんの背中を押す
素直に部屋へ入り、ベッドに潜り込んだ時透さんを見て安心し、次の任務へ行こうと部屋を出ようとする
「…A、もう行くんだ」
「はい」
目を瞑り寝入ろうとする時透さんの質問に答えた
もう少し話したい気持ちもあるが、これ以上は時間が取れない
「早くその怪我を治して頂ければ、私も一人で彼方此方へ駆けずり回らなくて済むんですがね〜」
少々嫌味っぽく話すも、何も返されない
眠ったのだろうか
…友達なんて、鬼殺隊に入っている限りそう易々と作れる物じゃない
しかも私は呪いの所為で周りの子にも気味が悪いと避けられていた為、鬼殺隊へ入隊する前もずっと一人遊びばかりしていた
友達と言える人がいない私は、一緒にいる時透さんを勝手に友達だと思っている
たった一人の友達
…初めてだからよく分からないけど
友達って、
「少し一緒に居られないだけで、随分遠くにいる様に感じるんですね」
不思議だ。
聞こえないであろう時透さんに語りかける様にして、私は部屋を後にした
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愛NA(プロフ) - 憧れていた…!?そんな前の作品から見て頂いていたなんて、嬉しいです!…それでは、そちらの小説のパスワードを小説置き場に置かせていただきますね。(本音:イヤァ文章酷いし設定死んでて恥ずかしいから全体公開は絶対したくナーイ) (2021年5月10日 22時) (レス) id: 6a6eebe6a3 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - 愛NAさん» お返事ありがとうございます。愛NA様初作品の時からずっと憧れていました(><)ところで塩とロールキャベツってあうよねという作品、とっても大好きなのですが非公開にされてしまったんですね…。公開する予定はありますか?コメント失礼致しました (2021年5月10日 21時) (レス) id: c8ec2977f2 (このIDを非表示/違反報告)
愛NA(プロフ) - くるみさん» ありがとうございます、お久しぶりですね。新作読んでいただいて感謝です!結構前の作品なのに、覚えていただけて嬉しいです…。才能だなんてそんな、恐縮です…!!更新頑張りますね! (2021年5月10日 21時) (レス) id: 6a6eebe6a3 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - 面白い作品見つけた!と思ったら愛NA様でしたか!非ログの時子供できたので結婚しますの作品でもコメントさせてもらった者です。愛NA様の作品、相変わらず才能に溢れてて尊敬します…。更新頑張ってください! (2021年5月9日 11時) (レス) id: c8ec2977f2 (このIDを非表示/違反報告)
愛NA(プロフ) - ♪kazune☆彡さん» お久しぶりです、いつも読んでくださりありがとうございます。面白いと言って頂けて良かったです、更新頑張らせていただきます! (2021年4月14日 22時) (レス) id: 6a6eebe6a3 (このIDを非表示/違反報告)
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