-4 〔ある少女の話(3)〕 ページ10
syp side
アンナさんはただのエルフじゃ無かった。
正直とても驚いたが、Aの話が気がかりでそれどころじゃなかった。
薄々気づいてはいたが、彼女は本当にずっと寂しい森の中、大きすぎるあの家で1人ぼっちなのだ。
最初にAが泣いていた日
彼女は『待って、どこにも行かないで。もう1人はやだ』といって涙を流していた。
今話を聞いてから、その涙を思い返すと胸が張り裂けそうだった。
Aは家族にも友達にも、時間にさえも置いていかれて1人はいやだとあの家で泣いていたのだ。
早く、早くAに会いたい。
俺に甘えて欲しい。頼って欲しい。
俺の前で泣いて欲しい。
そんな欲がどろりと顔をだす。
ありえない速さで思考が回っていた。
ガチャ
『ショッピくん、おかえり。もう昼食できて…ぅわっ、あ!』
ベットを整えていたAの体を抱きしめて、そのまま倒れ込む。
『…どうしたの』
syp「ごめんなさい。俺、Aのこと全部アンナさんから聞いちゃいました。」
『………そっか。』
『私ね、母さんのこと大好きだった。小さい頃、毎日お話を聞かせてくれて、必ず迎えに行くからねって、言ってくれた…』
『でも、私、母さんに捨てられちゃった』
『私が、普通の人間じゃない、から、』
そう言ってAは弱々しく笑った。
『忘れられないの、何十年経っても。最後に私の事を見た母さんの目が。気味の悪い化け物でも見たような瞳。』
『もし、もしもよ。私が普通の人間だったら、化け物じゃ無かったら、母さん、私のこと連れて帰ってくれたかしら。』
syp「…Aは化け物じゃないです」
『でも、普通の人間でもないわ。』
はっきりとした声でそう言われる。
これ以上、なんて言えばいいか分からなかった。
『……昼食食べましょう。冷めちゃうわ。』
そう言って俺の肩を押す彼女の目には、
涙が溜まっていた。
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おまけ
(『あぁ、そうだ。ショッピくんほかに言うことあるでしょう。』)
(syp「あ、Aただいま」)
(『はい、おかえり。』)
※次回、糖度高めです。注意※
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暁郗 - え?駄作とは??え??神作の間違いでは???? (2020年11月19日 20時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
ひな - とってもええお話やん(_><_) 続き楽しみしとこ♪ 応援してます!これからも頑張え!!!! (2020年10月1日 16時) (レス) id: 565863c7d8 (このIDを非表示/違反報告)
リズ(プロフ) - 椋。-ryou-さん» コメントありがとうございます!!泣いて欲しい話として書いたので、とても嬉しいです。これ以上の褒め言葉はありません…!!更新頑張ります! (2020年9月12日 23時) (レス) id: 294441511f (このIDを非表示/違反報告)
椋。-ryou-(プロフ) - ものすごく感動しています。特に「悲恋哀歌」は何度見ても涙が出ます。更新大変かもしれませんが、これからも応援しています。 (2020年9月12日 13時) (レス) id: 8b6ca01e67 (このIDを非表示/違反報告)
リズ(プロフ) - ソノさん» 頑張ります〜!!コメントありがとうございます!!続編も誠心誠意執筆していきますのでぜひ...!! (2020年9月7日 21時) (レス) id: 294441511f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リズ | 作成日時:2020年8月9日 12時