鶴が９羽 ページ9
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まず『審神者』について簡単に説明しよう。
俺は『審神者』なる者に顕現された刀剣男士だと言ったな。
『審神者』とは俺達の『主』にあたる役職の者だ。
その『審神者』と俺達は本丸と呼ばれる建物で暮らしている。
俺が人の身を纏い顕現した際の主はとても心優しく俺達刀を大事にしてくれた。
そんな幸せな日々はそう長く続かなかった。
人間には俺達付喪神と違って寿命というものが有るだろう。原因は霊力の減少だった。
俺達の為に使った霊力が減ってしまい、それと同時に寿命が縮んでしまった。と言う事だ。
主の命が絶えそうになった時、主は俺達を思って新しい審神者を呼んできた。
所謂代変わりという奴だ。
その女が最悪だったんだ。
俺達刀剣は戦場で怪我を負った場合、資源を消費して手入れをしなくては治らない。
だが、あの女はそれを怠った。
「は？手入れなんて資源と私の霊力の無駄じゃない」
と、何もしてくれなかった。
手入れするのは、れあ刀ばかり。
俺？俺は手入れはされるけど、他の刀の方が優先されてたな。
あと俺はあまり戦場に出してもらえなくて、傷がついていたって言うのもあるが。
重傷になり、それでも戦場へ行くと最悪の場合俺達刀は折れる。
俺の仲間達が何刃も折れたのを見てきた。
それも幼い体をした短刀達ばかりだ。
たまに打刀も折れているとことを見ていた。
殆どの短刀や打刀は２振り目が多い。
貞坊や大伽羅坊……嗚呼、俺の同郷達もな。
あと俺達は代変わりしてから、飯を食べた事がない。
だから、Aが俺に朝餉を作ってくれた時は凄く嬉しかったし、驚いた。
………………有難う、
それで、だ。
………いや、別に誤魔化してなんか無い。
誤魔化してないし礼なんか言っていない！
笑うな！
とにかく、話を戻すぞ。
「鶴丸、出陣よ」
ある日俺は主に呼び出され『出陣』を言い渡された。
何日ぶりだっただろうか。覚えてないくらいには出陣してなかったと思う。
「嗚呼、分かった。
ところで主、俺以外には誰がいるんだ」
「アンタだけだけど」
主の言葉に俺は固まった。
……え、俺だけ？？
他は誰もいないのか？練度も他のれあ刀より少ないのに？
「俺、だけ？場所は？」
「阿津賀志山よ」
「は！？」
阿津賀志山だと？？
俺の練度じゃ攻略できないし、何よりも一人は心細い。
「ボス倒してくるまで帰還させないから」
主の言葉で全てを察してしまった。
主は此処で俺を破壊させるつもりなんだと。
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作者名：前河。 | 作成日時：2019年9月7日 23時
