第88話 ページ41
リョーマside
竜崎のことが、好き？
休憩から戻って、試合形式の練習中も頭の中では我妻先輩の言葉が耳から離れないでいた。
『彼女のことが好きなのね』
『自覚なかったかしら』
優しい声音が。
見透かしているかのような目が。
『竜崎さんから視線が離せない。……それって、恋だと思うわ』
その奥に見える、笑っている竜崎が______。
ガシャンッ！
気が付けば、振りかぶったラケットは手からすり抜けて、ネットに届かない所まで飛んで落ちる。
空振りしたボールはフェンスにぶつかっていて、後ろの方でコロコロと転がる音がした。
「越前！どうしたんだよ〜！」
カラカラと音を立てて動かなくなったラケットをぼんやりと見つめていると、そんな桃先輩のおちゃらけた声が降ってきて、瞬きをする。
集中できてなかった。
頭の中は、竜崎でいっぱいで。
方向音痴で、優しくて。お人好しで、自己犠牲。
泣き虫のくせして無駄に芯があって。
髪は長すぎ、へっぴり越し。膝だって伸びすぎてて……。
考えれば考えるほど、さっきからオレは竜崎のことばかり。
あの時だって。
あいつらと観に行った女子テニス部の都大会だって、オレは竜崎の試合から視線が逸らせなかった。
それが、恋だって？
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「何してんの？」
「もうすぐ中間テストだから。苦手な所を今から勉強してるの」
図書委員の当番日。
カウンター越しに長い三つ編みが見えて、本を戻しに行くついでに声を掛けた。
英語の教科書を開き、単語を覚えているらしい。
「ふーん。……ここ、スペル間違ってるよ」
「えっ、あ……本当だ」
慌てて書き直す様子は、オレの知っている竜崎。
ねぇ、竜崎。
最近、試合観に来てくれないじゃん。
男子テニス部にだって、来てくれないのは、なんで？
「リョーマくん、ありがとう」
にこりと笑う姿に、疑問は口から出ない。
もごつく口から出たのは「じゃあ、仕事戻るから」なんて、適当な言葉だった。
抱えていた本を棚へと戻してカウンターへと戻れば、意外な人物が本を返している所に出会し、思わず目を見開いてしまう。
「越前くんが当番の日だったんだね？」
「……っス。珍しいっスね、マネージャーが一人なのって」
小首を傾げながらふわふわ髪を揺らして綺麗な笑みを浮かべるマネージャー。
「竜崎さんと、仲が良いの？」
そう問いかけてきたマネージャーの表情は、笑っているはずなのに笑っていないように見えた。
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バンビ(プロフ) - 真理さん» 現在更新のペースがかなりゆっくりになってしまっていますが、時間を見つけて更新をしていきますので、今後ともよろしくお願い致します。 (1月25日 23時) (
レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
真理 - バンビさん» 続きまだですか？ (1月24日 7時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - リコさん» ありがとうございます。今後も楽しみにして頂ける様に更新していきます。 (2021年7月18日 11時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
リコ(プロフ) - 続きを楽しみにしてます！ (2021年5月9日 6時) (レス) id: 8b5e530447 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - 紗衣さん» ありがとうございます。非常にゆっくりな更新になっていますが、楽しみにして頂ける様に頑張ります。 (2021年4月10日 0時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：バンビ | 作成日時：2020年9月4日 12時
