第77話 ページ30
桜乃side
「あいつの元カノ、まぁ今は俺の遊び相手の女なんだけど。そいつサクノちゃんとは正反対の派手な美人でさ。
別れた原因は派手になり過ぎたことで、サクノちゃんの様に純情で素朴な部分が消失したことで飽きられたんだと」
フーッと煙草の煙を私へ向かって吐き出した。
目に沁みる煙と、苦くて煙いそれに思わず咳が出る。
「けっほ!けほけほっ」
「あははッ!可愛い反応するなぁ」
「
「まさか東の惚れた女が、こーんなガキだとは思わなかったけどよ。将来有望なんじゃね?結構可愛い顔してんじゃん」
「おいおい、光源氏かよ」
ゲラゲラ笑う人達は、ジャラジャラと雀卓を囲んでいたり私の隣に座る人の様に煙草を吸ってスマホを弄っている。
南と呼ばれた、隣に座っている人は未だ小さく咽せている私を見下ろして口を開く。
「サクノちゃんは東のこと、どこまで知ってる?
東が中等部の時、部員にしていた悪虐の数々は?テニスを辞めてからの見境無い暴力は?高等部に進学してから相手になった他校生全員病院送りにしたとかは?」
今度は私ではなく、宙へと紫煙を吐き出したその人は、冷めた目で私の方を向く。
そして、今までよりも冷たい声音で言ったのだ。
「俺の
私はその言葉に、ひゅっと息を飲んだ。
Aさんから聞いていた話以上のことに、思わず目を見開いた。
どうやら、Aさんは私に過去の全てを教えてくれた訳ではないらしい。
それに気付いてしまった私は、恐怖と、それ以上に悲しいという感情に苛まれていた。
「今じゃその東が、牙を抜かれたみたいに大人しい。……君が、あいつの牙を抜いたんだって?」
煙草を捨て、「でも、あいつの様なイカれた人間が、そう簡単に変われるわけがない」そう言って踏み潰したその人は、また新しい煙草を咥えては火をつけて大きく吸い込んだ。
「いや、変わらねぇだろ」
制服をきっちり着ているからか、それとも冷たい目をしているからか、はたまた「君はどう思う?」と、私に問いかける言葉が優しさを孕んでいるからか。
その声が、未だ感じた事の無い程のなんとも表現し難い感情を煽って止まなかった。
「今の君の顔見たら、どんな顔するかな?」
今、私はどんな顔をしているのだろうか。
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バンビ(プロフ) - 真理さん» 現在更新のペースがかなりゆっくりになってしまっていますが、時間を見つけて更新をしていきますので、今後ともよろしくお願い致します。 (1月25日 23時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
真理 - バンビさん» 続きまだですか? (1月24日 7時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - リコさん» ありがとうございます。今後も楽しみにして頂ける様に更新していきます。 (2021年7月18日 11時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
リコ(プロフ) - 続きを楽しみにしてます! (2021年5月9日 6時) (レス) id: 8b5e530447 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - 紗衣さん» ありがとうございます。非常にゆっくりな更新になっていますが、楽しみにして頂ける様に頑張ります。 (2021年4月10日 0時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:バンビ | 作成日時:2020年9月4日 12時