第58話 ページ11
桜乃side
「あ、あの人にキスされた！！！？」
ブランコを漕ぐ私たち以外の音がない公園に、朋ちゃんの声が響いた。
今日は部活が休み。
急遽、職員会議が決まったらしく、どの部活も今日は部活が休みになった。昨日の今日で部活が休みになったのはある意味絶好のタイミングだと、学校では恥ずかしくて口にできなかった悩みを、今ここで聞いてもらっている。
目を丸くした朋ちゃんを前に、恥ずかしさでどうにかなってしまいそうな私は、昨日の出来事を口にして俯く。
熱を持った頬を冷ますように手のひらで押さえ、朋ちゃんの言葉に昨日の出来事が鮮明に蘇る。
昨日、私はAさんにキスされた。
少しAさんの雰囲気が違っていたのは気づいていたの。でも、それは私が試合に出してもらえるって伝えて喜んでいるからかと思っていた。
送ってもらって、今思えば少しの間見つめ合っていたようにも思える。
頬にかかった私の髪を払ったAさんは王子様のように見えた、そしてどんどんとAさんの綺麗な顔が近づいてきて。
一瞬だけの、触れるような口付けが、真っ白になっていた私には長い時間にも感じられた。
「自惚れ、ちゃっても良いのかな？」
ぽつりと、私の口からそんな言葉が溢れた。
「いいと思う」
隣から聞こえた優しい声に、思わず顔を上げる。
酷く嬉しそうな顔をした朋ちゃんが、私を見つめてた。にっこりと笑って、いつもとは違う綺麗な笑みを浮かべた朋ちゃんが、揺られていたブランコから飛び降り、私の前に立つ。
「う、嬉しかったって、思っても良いのかな？」
「うん」
「もし、Aさんが私のことを好きじゃなくても、よかったって思っても良いのかな」
「えっと、待って桜乃。好きだ、とか付き合ってとか言われてないの？」
朋ちゃんの、その言葉に私は目を丸くする。
「うん。キスされて、逃げちゃったの、私」
その言葉を耳にした朋ちゃんは、またも目を丸くして私の両方を掴み、前後に大きく揺する。
「それ！東さんの順序も違うけど、桜乃なんで逃げちゃうの！よく少女漫画や恋愛ドラマであるじゃない！突然のキスからの愛の告白！好きな人がいる女の子を振り向かせようとしてキスして告白する展開が！！」
「ふぇ！？」
朋ちゃんの唐突な行動に、ぐいぐいと揺らされる私の体。
そんな私たちの動きを止めたのは、軽快な機械音。
誰かからのメッセージが届く通知音だった。
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バンビ(プロフ) - 真理さん» 現在更新のペースがかなりゆっくりになってしまっていますが、時間を見つけて更新をしていきますので、今後ともよろしくお願い致します。 (1月25日 23時) (
レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
真理 - バンビさん» 続きまだですか？ (1月24日 7時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - リコさん» ありがとうございます。今後も楽しみにして頂ける様に更新していきます。 (2021年7月18日 11時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
リコ(プロフ) - 続きを楽しみにしてます！ (2021年5月9日 6時) (レス) id: 8b5e530447 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - 紗衣さん» ありがとうございます。非常にゆっくりな更新になっていますが、楽しみにして頂ける様に頑張ります。 (2021年4月10日 0時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：バンビ | 作成日時：2020年9月4日 12時
