君とわたしのtoccata(トッカータ) (ページ5)

今日:9 hit、昨日:3 hit、合計:6,497 hit

第2話ページ5

Aside

「……、最近有名な二次元アイドル、よね？」

わたしがそう声を出すまでの間に変な空気になった。

目の前のピエロは真面目な空気を醸し出して言うものだから、フッと力が抜けて引くつく口元でわたしはそう答える。

その作品は最近有名なゲームコンテンツ。アニメ化もされて、確か新キャラクターの声優にIDOLiSH7の和泉三月が選ばれたとかどうの……。

『そう。君のいる世界ではゲームやアニメ、キャラクターコンテンツとして活動している彼らには、彼らの世界がある。
そして君のいる世界も、別の世界ではゲームやアニメ、キャラクターコンテンツなんだよ』

「はぁ、……え゛？」

ピエロは真面目のようだ。
だけどスルーするには理解し難い言葉があった。

わたしがいる世界もアニメやゲームだということ。

『君のいる世界は【IDOLiSH7】というゲームアプリから始まったものでね。別の世界では【うたの☆プリンスさまっ♪】よりも後に始まったゲームで、当初は少し似ているんじゃないかって声も______ 』

「ちょっと待って。わたしが知っているものだと彼らは____ 」

『IDOLiSH7をモチーフにした、だろう？それが違うんだよ。僕が世間に遅れていた所為でそんな違いが生まれてしまった。まぁ関係ないと思っていたからそのままにしていたけれど』

ああ、無理だ。
わたしには到底理解が出来ない事態が起こっている。

詩音ちゃんのように何事も笑って済ませられる柔軟な人間ではないわたしが受け止めきれるものではない！

『そんな事は置いといて、アイドルである詩音を選んだ理由はその世界の舞台がアイドル育成学校だから。アイドルにはアイドルじゃないとね』

「アイドルじゃなくちゃいけないなら楽でも、誰でもいいんじゃないの？」

『あー、ダメダメ。男が行くと攻略されちゃうから』

「こ、攻略？」

『そう、あれは乙女ゲームの類いだからね。イケメンアイドルが行ったら攻略されてそれ以上の破壊が起こってしまう。

だからこそ詩音を選んだんだよ！
君みたいな異世界トリップやら異世界転生を理解出来なさそうな堅物よりもさ！』

とてつもない脱力感がわたしを襲う。

「つまり？」

『君はその世界に行って、原作を壊そうとする転生体から世界を守って欲しい。全部を全部そっくりだと大変だから、ある程度でいい。世界に損失が生まれない程度に頑張って欲しいんだ』

目の前でピエロが力説しているが、やはり理解し難い。