第19話 ページ22
律夏side
「ご！ごめんなさい！」
音也の声が響いた。音也が一歩ずれ、出来た道をヒールを鳴らし歩いていく姿を見送ってしまう。
シンとした私達の間に友ちゃんの呟きが大きな声とは別に響く。
「あれが律夏の妹のパートナー。Sクラスの人なら知ってるはず……」
ちらりと友ちゃんが3人を見ると、トキヤの淡々とした声が本来ならいない筈のキャラクターの名前を呼んだ。
「ええ。彼女は夜久 Aさん」
夜久 A。その名前に私は思わず目を見開いた。
だって、彼女は『うたプリ』ではなく別のゲームアプリ『IDOLiSH7』のキャラクターだから。
でも、私の知っているAよりも少し幼い。
『IDOLiSH7』は友達の勧めでプレイした事はある。
私以上に友達がハマっていて、私がうたプリの話をすれば友達がアイナナの話をするお茶会もあった。
コラボカフェがあれば一緒に参戦する。いわば戦友の様な友達が良く口にしていたキャラクターが彼女、夜久 Aだ。
「もう聞いてよ！アイナナに新キャラ出てきたんだけど、女アイドルが2人も！
キャラデザがクッソ好みなのに設定がまじ許せない！
『bullet』っていう八乙女事務所のアイドルユニットなんだけど、TRIGGERの先輩設定とか！詩音の方はIDOLiSH7を推してくれてるんだけど、こっちのA！蕎麦屋の幼馴染みで楽パパのお気にとか！
しかも楽紡推しの私としては公式がこの蕎麦屋×Aにしてくるんじゃ！？とかまじそうなったら発狂する！」
すでに発狂していた友達を抑えるのは大変だった。
しかし、そんな友達はその翌月私の家に乗り込んできてはチューハイ片手に泣きながら語り出す。
「うぉぉぉんっ。この間の新キャラ重過ぎたんだが！アイナナ全体的に話重いけどこれもやべえよおお！詩音はさ紡たんの従姉妹なんだけど、本当は小鳥遊事務所からデビューする筈だったんよ。だけど楽パパが事務所潰されたく無かったら移籍しろって！
そのこともあってか罪滅ぼしに詩音はIDOLiSH7に優しいし、全面的に守ってくれてるとか！
Aに至っては号泣ものよ。楽パパが異様にAに優しい理由ってのがAの亡くなった母親が楽パパの友達で大女優だからって理由だったのに……、まさかの異母兄妹！！禁断の恋になってしまう！
公式で絶対に結ばれない2人！！悲し過ぎる！！
私が同人誌で幸せにしてやるぅううう！」
でも、そのキャラクターがどうして春歌のパートナーとしているのだろうか？
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作者名：バンビ | 作成日時：2020年9月13日 22時
