男前女芸人_その2 (ページ1)

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光に向かうページ1

最初の暗闇に見えて、うっすらと光が差していた。その光に導かれる様に歩いていくと、小さく座ってすすり泣く後ろ姿が見えた。

あれはきっと、自分だろう。

髪が長かった頃の、
スカートを履いていた頃の、
まだ江宮Aという、芸人じゃなかった頃の私だろう。

近づいていくと、ぼそぼそと何かを言っているのが聞こえた。

『私だって普通に学生生活を送りたかった』
『女の子の友達が欲しかった』
『嫉妬と妬みの目じゃなくて、もっと別の、楽しい感情で見つめてほしかった』

わかる、わかるよ。
苦しかったよね、ごめんね、蔑ろにしてて。ずっと思い出さない様に蓋を閉めててごめんね。

君も江宮Aなのに、ずっと1人にしててごめんね。

気がつくとその後ろ姿を抱きしめていた。

『これからは、一緒に、な』

そう言うと、私はもっと泣き出してしまった。まるであの日みたいで少し笑っちゃったけど俺は悪くないと思う、うん。

振り向いて私が口を開こうとした途端、後ろから何かに肩を掴まれて光の中に放り投げられた。

驚いて私に手を伸ばしたが、私はその手を取らず柔らかく笑って何かを言った。

その内容は聞き取れず、そのまま光に吸い込まれた。

『ありがとう、君はもっと強くなれるよ』

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