"別の人の彼女になったよ"

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『·····ただいま、』



2人で住む部屋に、私が靴を脱ぐ音が響く



「おかえり」



玄関先でそう微笑む北斗



『待ってたの？』



「音がして、飛んできた」



常に大人っぽい彼がたまに見せるこういう無邪気さに私は惹かれたんだっけ



『·····ふふ、ありがとう』



「お腹空いてる？」



『あーうん、少し』



「スープくらいなら食べれる？」



残業帰りの私があまりご飯を食べれないことを知ってか知らずか、私的に今一番食べやすいスープを作ってくれる彼は本当にできた彼氏だ



『うん、ごめん。ありがとう』



「スーツ、脱いでおいで」



『はーい』



前までの私の部屋着はスウェットだった



でも北斗と付き合って、北斗がいつでもきちんとしてるから



私がそんなだらしなかったらダメな気がして、



別に北斗に言われたわけじゃないのに部屋着をちゃんとした服にした



メイクだって、前までは帰ってきたらすぐ落としていたけど



もしかしたらすっぴんを見られたら北斗に捨てられるかも、なんてありもしない想像を膨らませて



寝る直前に落とすようにした



(·····前まで前まで、って·····最低だ)



最近ずっとそうだ



北斗と付き合う前は、なんて考えてしまう



そんな嫌な感情を振り払うように少し急いで着替えて、北斗の待つリビングへ向かった

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