【ツイステ】物騒系妹。

背中 ページ40

ユウ side



「Aちゃん！」


中庭。
ベンチに体育座りで顔を膝に押し付けるAちゃんを見つけた。

肩が震えていて、小さいが嗚咽が聞こえる。

隣に座って、おもわず抱きしめてしまった。


『ユウ、君』

「Aちゃん、なんで泣いてるの？」


『...寂しかったの。
トレイも、私を見捨てる。

兄様の妹だからって、だからって...』


「よしよし。
よくあの場で泣かなかったね」

僕だったら悔しくて泣いちゃうよ、なんて笑ってみせる。


「Aちゃん。
それを言葉にしてみたらどう？」

『私、ただ態度がでかいだけ。
兄様に寂しいの一言も言えないのよ』

小さい背中、か細い声。
けど強い意志。

その裏は、ただの孤独だった。

ひとりが寂しい、この歳の子にはきついものがあるだろう。

さらに一刻の姫と来た。
どんな無礼も許されない。

だからこそ、この子は寂しいのだ。
吐ける人が欲しいのだ。


『私まだあの場にいたかった。
話に混ざれなくてもいいから。

見てるだけでも、暖かかったの』

「うん。」

『トレイが私に出てけって言って辛かった。
言い返したかったわ。
けど言い返しても、あの人だから上手く丸めてしまう』

「うん。」

『私、もう嫌。
つよがりは疲れちゃう』


黄緑色の綺麗な瞳が濁った。

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