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「Aさん、大丈夫ですか?」
しょっぴくんは、座り込んだままの私に手を差し伸べた。
「…だいじょばない……」
その手を取って、私は立ち上がった。
その衝撃でしょっぴくんにもたれかかった。いや、しょっぴくんが私を引っ張った。
「せんぱい、俺Aさんのこと好きなんすよ」
改めて、明言されるとしっかりと理解してしまって、また顔が火照る。
「アホなAさんの為にすっごくアピールしたんで、気付いてくれてるでしょうけど」
「気付いてました…」
「そんなAさん大好きな男と一緒に、家まで来た訳ですけど。
…ふふ、Aさんの口から聞きたいなぁ?」
「……しょ、っぴくんのこと…好き…です」
「ははっ、なんで敬語やねん」
しょっぴくんは私を抱きしめた。
ぎゅうっと、でも痛くないくらいに。
「…っはー、良かった…
せんぱい、流されたりしてないですよね?ちゃんと本心ですよね?」
「してないよ…人生初告白です」
「そうなんや」
途中まで、確かに私達は先輩と後輩だったのだ。
でも、気付いたらしょっぴくんが好きになっていた。自己肯定感は著しく低い私を肯定してくれて、一緒に居てくれる。そんな我儘な私に、懸命に好きを伝えてくれたから。だからきっと、しょっぴくんが好きになった。
「……今考えたら、私ずっとしょっぴくんだから、で色々してたなぁ」
「え、何ですか?」
「私そんな褒めないし、仲良くないと顔にも出さないよ。というか、あまあまだったな。しょっぴくんに対して」
「ふーん…そうなんすね。
Aさん後輩贔屓ならぬ俺贔屓してたんや。悪い奴やなぁ」
しょっぴくんは嬉しそうに言った。
ああ、しょっぴくんの笑顔に、私は弱い。
「そうですー。可愛くもない我儘な私ですー」
「Aは充分かわええで」
「……しょっぴくんって女の子が、というか私が喜ぶこと理解してる?」
「先輩が分かりやすいだけです。
…わかるまで大変やったんですからね。もう離さんからな」
「うん。ずっと一緒に居たい」
うるさい心臓の音を聞いて、どこからともなくキスをした。
消えかけの煙草の煙の匂いは、しょっぴくんの匂いと一緒だった。
紫煙の感覚を知っている。
- 金 運: ★☆☆☆☆
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作者名:天の河 | 作成日時:2021年8月22日 1時