＊ 激 甘 な 日 々 ＊ 【 太 宰 治 】

▽ 合コン ２ ページ29

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部屋を出た私は、


人気(ひとけ)のない所へと連れていかれた。







モブ「本当にごめんね〜？」



『いえ、気にしないでください』







すると、その男の人は

座り込んで、濡れていた所を拭いた。





何だか、嫌な予感がした。









『あの、結構ですから…っ』



モブ「でも、スカートの中とか濡れちゃったよね?

俺拭いてあげるよー」









そう言い、男の人はﾆﾔﾆﾔして、

スカートの中に手を入れた。






や、やだ……ｯ!!







『誰か……っ』




モブ「うわ!?」








急に男の人が声を上げ、吃驚する。


其処には、先刻の蓬髪の男の人がいて……





確か……







『だ、太宰……さん………？』





太宰「女の子に手を出すなんて、最低だね」





モブ「な、なんだよｯ。てめぇだって…ｯ」




太宰「一緒にするな。鬱陶しいから早く消えて」




モブ「ちっ…！」








男の人は舌打ちをして、逃げていった。


その姿を見て、ﾎｯとする。









太宰「大丈夫かい?」



『すみません…ありがとうございました……』







"いえいえ"と微笑む彼に、

ドキッとした。






何だろう、この感情…







すると、太宰さんは自分のパーカーを

私の腰に巻いた。






『え、あの！濡れちゃいますよ…！』





太宰「女の子をそのままの姿で帰すわけには行かないからね。

気にしないでくれ給え」






"私はそろそろ帰るよ"

と言い、彼は私に背中を向ける。








『また！！

……また会えますか…？』








気づけばそんな事を言っていた。


太宰さんはﾌｯと笑い、

メモ用紙に何か記入して、私に渡した。







太宰「…はい、私の電話番号」



『あ、ありがとうございます…！』








太宰「どういたしまして。

またね、"Aちゃん"」









太宰さんは私に手を振り、

帰っていった。






メモ用紙を強く握りしめる。


名前を呼ばれただけなのに、

とても嬉しかった。







胸がドキドキする。







『太宰、治さん───』









これが恋だと云うことを、


この時の私は未だ知らなかった。







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