【短編集】Canvas【モ.ト.キ】

【33】初デート の お話 ページ35

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Your side



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『モトキくん！パンケーキ食べに行きましょう！』





付き合い始めて数日。

木々が秋色に染まり始めた頃、ふと思い立ったので告げてみた。





「パンケーキとは、かの有名な？」

『そうです、最近の女子が好きなやつ』

「初デートだね？」

『…そうですね？』

「よし、行こう」





そんなわけで、

モトキくんとの初デートは大学終わりのパンケーキ。



ちょっと女の子になりたいなぁと思って言ってみたら、それがデートになるんだと言われて気づいた。

そうだ、私とモトキくんは恋仲になったんだった。



そう思うと、少しドキドキする。



────なんて事は、意外と無かった。





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『むー！ふわふわですな！美味いですな！』

「うん、甘い、美味しい」





むぐむぐと頬張るパンケーキ。

甘すぎて吐いたりでもしたらどうしようかと思ったけど、全然そんな事は無かった。

甘すぎず、くど過ぎず。

所々に転がったバナナやイチゴ、ベリーが甘酸っぱくて良いアクセント。



モトキくんもモグモグと美味しそうに頬張ってる。





『…へへへ』

「ん、何？」

『美味しいねぇ、パンケーキ』

「ね、Aと来れたから、倍美味しい」





ピッと、モトキくんがピースする。

それに合わせて私もピースして、へへ、とまた笑った。





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『食べた食べたぁ』

「うーん、美味しかった」





お店を出ると、日は沈みかけて辺りは夕暮れ色。





『…ヨシ、帰ろうかぁ』

「ん」





サッとモトキくんが手を差し出す。





『ん？』

「…こうするの」





何もしないで手を見つめていると、モトキくんがするりと指と指を絡めた。

あ、何だっけ、これ。えっと。



そうだ、恋人繋ぎ。





『恋人っぽい』

「恋人でしょ」

『そうだった、恋人だ』





また二人で笑って、それから歩き出す。

モトキくんといると、空気がふわふわする。



緊張よりも、緊張がほぐれる感じ。





「────A」

『はぁい？』

「…好き」

『私は大好きだよ』

「やられたぁ」





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