マシュマロココア

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「れもんちゃん」







ひらひらと桜が舞う


今日は、最後の日。






また後ろから声をかけられて、何だか泣きそうになって、唇を噛み締めた。









先輩のブレザーの二つ目には、やっぱりないボタン









「昨日、ありがとうな」







ぱっと視線をあげると優しい顔した先輩




それだけで胸が痛い痛いと泣いて。









「れもんちゃんのお陰で、なんか悔いなく卒業できる」


「ほんまにありがとう」



「絶対忘れん」









最後まで目を見てそう話した先輩





ああ、最後なんだ。


結局最後まで伝えられなかったなぁ。









“ どっちかの手に先輩のボタン入ってます“




“ もし、先輩が言う方に入ってたら“






“ 好きな人に、渡してください“









きっと、昨日の事なんてゲームくらいにしか先輩は思ってないし、種明かしも、しない。









それでいい。それでも、先輩が笑うなら、
それでいいや。








ぽんっと投げられたこれももう最後。









「じゃあな」









左手で私の頭をぽん、と撫でて、






不意に引っ張られた、わたしの2番目のそれ









ああ、やっぱり、敵わない。






少しだけ不恰好な私のブレザーに心は温まる

手元の黄色いラベルのそれをぎゅと握りしめて彼の後ろ姿を見送って、







私も、歩き出した。



さよなら、大好きな人。









Fin







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