マシュマロココア

に ページ2

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「はあ」




隣の家のドアの前でひとり、ため息。




グレーのパーカーに黒いスエットパンツ

夜までソファで寝っ転がってたからぴょん、と跳ねた栗色の髪は、無造作にてっぺんでお団子



色気も何もない。




初恋の人だっていうのに、こんなぐうたらな姿

ま、いいけど。




少しでも、とポケットに忍ばせたコーラルのグロスをひと塗りして、



震える指で、チャイムを押した。









『…はい』




特徴的な甘い声に、

心が震える、ふるえる。





「っあ、あの、Aです」


『…A？』


『待ってて』



どうして。

彼が紡ぐだけで私の名前は輝いてどうしようもなく心が震えるの




がちゃ、と開いたドアの先




「…なに」



無愛想な表情で私を見る大ちゃんがいて、




思わず涙が溢れて、





「え、ええ？」





歪む視界で大ちゃんが焦っていたのが

少しだけ可笑しかった



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