＊29 ページ30
「ね〜、ここわかんない〜！」
「俺もう死んだ……」
「はいはい、あともうちょっとだよ。頑張れ」
じめじめするこの頃。最近、雨も結構降る日が多い6月。
只今、今月下旬に行われる定期テストへ向けての勉強をしています……
数学が得意な……っていうか、どの教科も得意に近い智輝が教える側となって、数学が大の苦手の私と雅斗は教えられる側だ。
「もうここ意味わかんない！」
「あともう少しで休憩にしてあげるね。えっと、ここはね……」
智輝から簡潔に解説をしてくれて、なんとか少しずつわかってきた気がした。
あれから5分が経った。
「よし、休憩にしよっか…」
智輝の声によって、勉強した体勢が崩れた。
雅斗に関しては、床に大の字になって『疲れたー！』と叫んでいる。
私の隣から聞こえてくるから結構うるさい。
「お菓子持ってくるね。あと飲み物も」
「わーい！ありがとう！」
お礼を言うと、智輝はにこっと笑って自室から出ていった。
智輝が出ていった後、沈黙が流れた。
「……」
「……あのさ」
沈黙を破ったのは私ではなく、雅斗。
私は首をかしげて相手の方へ向く。
「お前、先輩から悪口言われたんだろ…？智輝と二人で学校に行ったとき」
「え…」
まさか、雅斗が知っているなんて……
智輝が教えたんだろうけど。
私は『まぁね』と返す。
「辛くねぇか？」
「別に。もう慣れちゃってるし大丈夫だよ」
雅斗に向かって笑う。
でも、雅斗はまだ不安そうな顔をしていた。
別に、もう気にしてないのにな……
「お前、今無理してるだろ……」
「本当に違う！無理してないよ！」
私はそう反論すると、雅斗は手を私の頬に当てる。
少しひんやりしていて、ゴツゴツしていた。昔とは違うんだなって思った。
「俺はお前のこと……」
雅斗が何かを言いかけた後、タイミング悪く智輝が戻ってきた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 54人がお気に入り
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：咲乃ほしは | 作成日時：2020年3月25日 17時
