Alter story.372 ページ6
今見ている現実は、
夢のようなことが起きるはずなどない。
……そうわかっていても、
膝に置く手が込み上げる力は徐々に増してゆく。
……そう、誰も空へ飛ばされることなどあるはずがないのだから。
だから、この試合であの人が崩れるはずなど、
ないのだ──。
『それで、一体なんの用なんですか。
私の本性を見せろだなんて。真名を尋ねられればしない訳にはいかなかったけれども』
そう言って、昨晩の昼過ぎ頃にて吹雪さんに詰め寄る。
彼の顔に浮かぶ表情は、儚い笑顔から決して変わったりなどしなかった。
『君に、僕のかわりをして欲しくてね』
『……貴方の代わり？ どういう事ですか。まるで目の前からもうすぐ消えるような＿＿』
そこまで言いかけた、私の口を止めて欲しいとでも言うかのように。
吹雪さんはゆっくりと目をふせ首をやんわりと横に振った。
『…僕の足がもたないんだよ。そう、次の試合が最後なんだってわかってる。
でも、僕はアツヤとフィールドに立ちたいんだ』
『足が、もたない？』
意味を理解することが出来ず、私は小さく眉間にシワを寄せる。
辛そうに笑う目の前の雪の王子の代わりに、そばにいたコーチが口を開くのだった。
『…士郎はね、FFI開始の時点でもう既に足を痛めてたんだよ。ちゃんとしたケアを怠ったまま、ね。
だから、このスペイン戦で最後になるんだ』
……その言葉を聞いた瞬間、私はなんて返せばいいのかすらわからなかった。
つまり彼は。あのサウジアラビア戦で演技のフリをしていたと思わせていたのが、実際にはもう既に傷ついていたということで。
その嘘を見抜けなかった私を、無性に壊したくなった。
そのイライラをぶつけるかのように、私は左手で前髪をグシャリと鷲掴む。肌切れた所と髪が触れたその瞬間は痛かったけれど、それには知らぬふりをした。
『──あの人とコンタクトを取っていることは分かりました。でも、私は絶対信じない。あなたは、あなたの代わりなんか存在しない。私の代わりが居ないのと同じように、あなたの代わりなんて居ない。私はあなたの代わりなんてならない!!』
『まって、××さ──』
『話すことなんてありません。ここで失礼します』
そんな話は聞きたくない、
ただのエゴだとはわかっていながらも私はそう吐き捨てその場を去った。
「……絶対、離脱なんて有り得るはずなんてない」
その言葉は、誰にも拾われることなくただ風に流されて消えていった。
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ジューガ(プロフ) - 霧雨煙雨/月夜さん» あ、こんばんはです、了解しましたすぐ向かいますね！！ (2020年3月18日 0時) (
レス) id: 9eafabe847 (このIDを非表示/違反報告)
霧雨煙雨/月夜(プロフ) - ジューガさん» こんばんは、霧雨です。俺らのイレブンの小説についてお話したいので、咲夜さんの方へ行って頂いても宜しいですか…？ (2020年3月17日 20時) (レス) id: 51bb19e87e (このIDを非表示/違反報告)
ジューガ(プロフ) - 今はあまりリアルの方でドタバタしていることが多いのであまり更新は出来てませんがゆったりお待ちいただけると幸いです。長々としたものですがぜひ最後までお付き合いくださいませ…。 (2020年1月20日 12時) (レス) id: 9eafabe847 (このIDを非表示/違反報告)
ジューガ(プロフ) - SACRAさん» あけましておめでとうございます。(年明けでしたらいつでも言ってもいいと思いますよ笑) 実はあれ、公開するの少し躊躇してたんですよね、あまり小説もそこまで進んでなかったので…(( そう仰っていただけて良かったです！(続きます) (2020年1月20日 12時) (レス) id: 9eafabe847 (このIDを非表示/違反報告)
SACRA - あけましておめでとうございます。（随分遅いですが） Twitterの方で夢主纏めのプライベッター失礼しました。話も大分読み込ませていただきました。新参者の態度を取ってすいません。ゆったりと更新待ってますね (2020年1月20日 3時) (レス) id: bc04aa7e3b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ジューガ | 作成日時：2019年11月3日 2時
