Dream story.100 ページ8
はじめは笑顔だったらしいその少女の口端は、手首を掴んだその瞬間に下がった。
『──そのさきをおもいだせば、あなたはじぶんのおもいをまっとうするじゃない。
そんなの、ただのじこまんぞくなくせに』
「……うるさい」
『どうして？＊＊＊はまちがったこといってないのに』
「……うるさいな」
彼女の名前であろうか、ノイズ音に羽場かれて正体を掴むことが出来ない。
それでも、手首を引くことで体を抱き寄せる。
大丈夫だと、宥めるようにして片手を後頭部に、もう片方を背中の中心にやって。
さらにきつく抱きしめる。
「……大丈夫。もう迷いなんてない。私に未来もないんだ。
どうしようもない、この記憶はずっと。歯止めが聞かないものだから」
『──だめ。そんなの、ほかのだれものぞんでなんかない』
「えぇ、他の人はね……でも、ここに望む者がいる」
彼女を抱えたまま立ち上がり、真っ直ぐに前へ歩いていく。
抱きしめられている彼女は、数秒遅れながらも手足を使って抵抗し出した。
『やめて、あしをとめて！そのなかにとびこんだら、あなたは──！！』
だけど、その力はあまりにもか弱くて。私を止める術には至らない。
「……ごめんなさい、"御伽噺"が完成しちゃうね」
『もどって！そのさきは、とりかえしがつかなくなるから！！いや、いやっ！！』
「＿＿Успокойся．Давай, сынок, идем домой.」
『……"いやよ、おうちにはかえりたくない"』
崖淵が崩れ、少女は陸の方へ突き飛ばして私はその反動と共に海の方へ落ちていく。
……これは、あの夢の終わり。
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作者名：ジューガ | 作成日時：2018年12月14日 3時
