【イナズマイレブン】Charm and Abandon【オリオンの刻印】 (ページ7)

今日:2 hit、昨日:8 hit、合計:56,233 hit

Dream story.099 ページ7

「……なんで私だけ」
Aさんはベンチに座っててくださいね、といって監督は私の背後に回ったかと思えばベンチの方へ肩をおす。

渋々言う通りに空いているところへ座れば、今度は李君が立ち上がってみんなの所へ歩いていった。

一方私はと言うと、つくしさんからひざ掛けを手渡される。何故かと問いただすと本人は、

「監督からAちゃんに渡して、と。
その他にも"目を瞑ってと伝えろ"と言われました！」

といつもの眩しい笑顔を私に向けた。

……しまったな、監督のことを忘れてた。

そうですか、ありがとうございます。と笑ってみせた後に、ひざ掛けを広げて背中をベンチに預けて息を吐いた。
……頬の力が、抜けた気がする。

動かなくなった故にか、だんだんと遠くなっていく自分の意識。その中で、おやすみなさい、と声が聞こえた。

……どこか幼い、悲しげな声だった。

ゆっくり目を開けば、そこには大きな崖とその先には大きな海がただ広がっていた。

そして、崖淵の前には菫色の短い髪を持った少女が私の前に立っていた。彼女の目は見えなかった。

私は、こと切れたかのようにその場で座り込んでいて。視線を合わせるかのように、少女は足を織って地に膝を着いた。…相変わらず前髪で目は見えなかった。

『もういちど、ふういんを──』

そう言って、傷だらけの私の腹に、少女は左手を付こうとする。だが、それを制するかのように少女の手首を掴んだ。

「……いらないよ。もう、忘れなくていいから」