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Last story.1-3 ページ49
『……お、……だ、いで』
「......え？」
『思い出さないで！』
「思い出さないでって……なんで」
先程まで凛としていた彼女が、私の両肩を掴んで声を荒らげる。
ぐちゃぐちゃに潰されたその声に、ノイズがかかり少しだけ耳が痛くなる。
「どうして、私が思い出したらダメなの？」
『ダメだからっ。思い出したらあなたは壊れる、また前みたいに未来を失っちゃうから！
……順番なの、これは順番が必要なの』
どれだけ激しく動こうが、
彼女の瞳も髪の毛の1本さえも見ることが出来なくて。
それでも、ぐちゃぐちゃに潰されたその隙間から小さく光る涙のようなものが、キラキラと宙に舞う。
それを見てるだけしかできないから苦しくて、
動くこともままならず口元が歪んでゆく。
次第に眉間にまで力が篭ってきて、喉に空気が通った後に飛び出た言葉は。
「……ごめ、ん、なさ……い」
『......なんで謝ってんのさ』
「弱くて、私が弱いからこんなことになってて」
『……ちがう、私が言いたいのはっ』
身も蓋もない、傍から見てしまえば内容すらない言葉が並べられたかのような”ごめんなさい“、だった。
口から吐き出す度に胸は苦しめれていき、
私はどうすればいいのかすら分からなかった。
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作者名：ジューガ | 作成日時：2018年12月14日 3時
