【イナズマイレブン】Charm and Abandon【オリオンの刻印】 (ページ48)

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Last story.1-2 ページ48

「この声……！」

慌てて体を後ろに翻すと、そこには私以外の別の少女の姿があった。

私よりも小さい、多分小学校低学年くらいの身丈で。
水色の淡いワンピースに茶色の編上げブーツを履いていることは分かるのに。
それなのに、肩より上の高さにあるはずの頭には黒のクレヨンで塗りつぶしたようにはっきりと見ることが出来なくて。

「……あなたは誰。あなたは私の何を知っているの」
『──私はあなた。あなたは私。あなたの忘れてしまった話を覚えてる』

「私が、忘れた話。じゃあ、それを思い出せば……！」
『それはダメ』

凛とした声と突き出された左の掌で制され、その場を動こうとした体は小さく肩を揺らす。

この状況をどうすればいいのかすらわからなくて、
この状況をどうしたら打破できるのかわからなくて。
どうにかしようと辺りを見渡すけれども、
少し離れた、突き出した左手を下ろしたあの少女以外には何も見当たらない。

『その様子じゃ、何も覚えてないんでしょ』
「……うん」

『あの子たちとの思い出だって何も憶えてないでしょ』
「……知らない」

そういって彼女から視線を逸らせば。
右肩に微かな力が加わった気がして、慌てて体の内側に顔を戻したその瞬間私は目を見開く。

……遠くにいたはずの彼女が、目の前にいたのだから。