【イナズマイレブン】Charm and Abandon【オリオンの刻印】 (ページ30)

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Dream story.119 ページ30

少しだけボーッとしていると、扉から軽いノック音が3回鳴り響いた。

「……野坂さん」
「さぁ、行くよ」

キィィ、と音を立てながら開いたドアの先には、ジャージを軽く羽織った野坂さんの姿が。

はい、と頷きながら返事をすれば彼の顔は少し綻んだ。

ジャージの上だけを同じように腕を通しながら、部屋をあとにする。

＿＿今日だけ、貴方は使わない。

そっと心の中で睨むように、エナメルバッグへ一瞥する。それだけで、心の中は濁ってった。

フィールドへ続く通路を抜けきると、どうやら剛陣さんが試合に出すように監督に申し出ているらしく、声を荒らげていた。

「切り札っていうのならいつ使うんだよ！
このままじゃ宝の持ち腐れだぜ！？」

「僕も監督と同じ意見です、剛陣さん……ね、Aちゃん」

「……っ、はい。まだ剛陣さんは今大会で出場していないですが。
──決勝の時にイナズマジャパンの最大の危機、それを救う謎のピンチヒッター！それにあのFFで見せてくれた"ファイヤーレモネード"を使いこなす！
正に、イナズマジャパンの最大の武器！！……なんてどうでしょうか」

「おぉ！天才だな！！
……ガハハッ！今回はベンチを温めるとするかァ！」

適当に並べた熱演らしき謎の文章でさえ、彼は見違えるように納得し、体をベンチへ吸い寄せた。

「……単細胞」
「おうよ！」

……ポジティブシンキングに徹するのも、大概にして欲しいものだ。