【イナズマイレブン】Charm and Abandon【オリオンの刻印】 (ページ27)

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Dream story.116 ページ27

玄関を出ると、目の前には1つの黒いリムジンが止まった。全自動ドアらしく、左側の扉がひとりでに開かれる。

わっ、と声を漏らしながら立ち尽くしていると、中で小さく笑う声が聞こえた。

そして、未だにどこか惚けている中で車の中から出てきたひとつの腕が、私の右手を優しく掴む。

引っ張られたと感じたその時には、もうシートベルトをかけられていた。

「えっ……えっ」

「ふふっ、面白い反応するんだね。
＿＿あ、このままスタジアムまでお願いします」

引っ張られた反動で下がった顔を上げると、前には向かい合うようにして1人の少年が座っていた。

薄紅色の跳ねた髪に、じっと何かを見据える黒い瞳。
FF時とは違う、何処か生き生きとした顔持ちを持つ──野坂悠馬さんだ。

「あ、は……はじめまして。朱月Aです、よろしくお願いします」
「ふふっ、僕は……名乗らなくてもいいよね。よろしくAちゃん」

堂々と、気品の持つその様子は、まさに“皇帝”の名に等しくて。
少しばかりそれを見ていると、彼は運転中にも関わらずシートベルトを外して隣まで足を勧めてきた。

……そういえば、吹雪さんも野坂さんも。
人を名呼びにするのが好きなのかな？