【イナズマイレブン】Charm and Abandon【オリオンの刻印】 (ページ2)

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Dream story.094 ページ2

「……朱月。お前はもう、そいつに会えないとでも思っているのか？」

「会おうと思えば会えるとは思いたい、です。
だけど、今の私にはその勇気がないんです。
"サヨナラ"も言えてないこんな私が、あの人とどう向かい合えばいいんだろうって」

「＿＿優しいんだな、お前」

俯きながら語っていったその言葉は、自分の中でぐちゃぐちゃになっていく。
それが顕れるかのように、手先でペットボトルを弄っていた。

あの、と一声かけようと顔を上げたその時だった。

──ウィーン、という無機質な音をドアが鳴らす音が耳を掠め、慌ててその場を立った。

開いた扉の先には、風丸さんが立っていた。

「……円堂、ここにいたのか。就寝時間10分前になっても隣の扉が開かないから探したぞ」

「こんばんは、風丸さん」
「げっ、もうそんな時間か」

名前も何もかも伏せてしまった、真実のない物語。そんなことでさえ、円堂さんは受け止めてしまう。

……一体、どれだけ心が広いんだろうか。

「……では、このまま解散にしましょうか。おやすみなさい円堂さん、風丸さん」

「おやすみ」
「おう、おやすみ。いい夢見ろよ！」

笑顔を張りつけたまま、顔を見えさせないようにして頭を下げる。

"夢"という言葉と扉が締まりきる音に呼応して、私の口角が下がった気がした。

──痛みは、もう既に消えていた。