08 表情 ページ8
チュンチュン、と小鳥の声が聞こえてくる。
もう朝か……。なんて思いながら目を開けると、目の前には美形の男の人。
「……っ！？」
なんで、なんで！？って思うけど、昨日の出来事を振り返るとすぐに思い出せた。
「リンデルさん、だ。」
寝顔はまるで幼い。昨日は結ってあった髪の毛も、今は解いている。顔がとても綺麗だから、このままなら女の人って言われても違和感ないかも。
少しだけ、触ってみてもいいかな。
ほっぺをつんつんする。
すごく柔らかい。ふにふにだぁ。
そのまま触っていると、私の頬はつねられる。
「ひっ……！」
リンデルさんは目を開けていて、ニヤニヤと笑っている。どうしよう、怒られちゃう。
「イタズラをしおったのはおぬしか〜？」
「ほっ、ほへんははいっ……！」
目に涙が溜まってくる。止めようと頑張っていると、リンデルさんはまた昨日みたいな優しい笑顔になって、頭を撫でてくれた。
怒って、ないのかな……？
「くくっ、娘っ子のイタズラなど怒れぬよ。泣くのはおやめ。」
優しい目に慰められる。この、優しい目、優しい表情……、
「好き、だなぁ……。」
「へっ……？」
「え？」
声に、出ちゃった……！？
リンデルさんは顔を少し赤らめて、目を逸らす。
「ちっ、違います！ごめんなさい、あの……リンデルさんの優しい顔が、すごく嬉しくて、その……好きだなぁと思って……。」
そう言うと、リンデルさんはまた私の方を向いて、少し目を細めながら話しかける。
「そう言うのは、むやみやたらと男に言うものではないぞ。」
それだけ告げると、テントから出ていった。
「いっ、言いません！」
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作者名：ツルウメモドキ | 作成日時：2020年4月15日 14時
