魔法使いの恋慕 (ページ23)

今日:2 hit、昨日:9 hit、合計:16,408 hit

19 朝餉ページ23

「A様、おはようございます。」

その声で目を覚ます。

目を開けると水色の髪の毛が目に映る。

「……おはよ。」

いつもの朝、という感じが今までよりも実感できる。

ミアがいて、朝起こしてくれる。それだけで、心が満たされる。

ミアににこりと微笑むと、ミアも私に微笑みかける。

「朝食は私が作らせていただきました。今日はカボチャとクリームのポタージュですよ。A様お好きでしょう？」

正直、覚えていないのが事実。だけど、ミアがあまりにも嬉しそうに話しかけてくるから思わず頷く。

テントを出ると、リンデルさんは既にスープを食んでいた。テントを出た私に気づくと、リンデルさんはいつものようににこりと笑って手招きをする。

「おはようございます、リンデルさん。」

「おはよう。昨日はいい夢を見られたか？」

「ええと……あんまり覚えていません。ミアのお話を聞いていたのは覚えているんですけど、その後はよく分からなくて。」

そう言うとリンデルさんは笑いだす。

「途中からおぬしはミア、ミアと言いながら寝ておったからの。余程このケルピーが好きなんだの。」

「ケルピーではなくミアと呼んでいただけないでしょうか、リンデル様。A様が考えてくださった名前なのです。」

「おお、うむ。すまぬな。」

そう言って、ミアと呼ぶリンデルさん。そのままリンデルさんとミアが二人で話し出す。

私は二人の顔を眺めながら、スープを掬った。