18-4 契約 ページ22
数秒。
私の感覚的には数十分程度待ってから、彼女が話す。
「……私は、ただの人間じゃないんだよ。秀でた魔法使いでもない。竜でも、妖精でもない半端な存在。それでも、いいの？」
「私は、あなたがいいです。」
そう言うと、彼女は泣いて崩れる。
私は人間の姿になり、彼女を優しく抱きしめた。
「A様、私に名をください。そして、その名で私のことを呼んでください。」
彼女がこくりと頷く。
私は彼女の手を取り、言葉を口にする。
「私に続いて言葉を……。」
「ちょっと待って。」
……え？
今のは、契約の流れでは無かったのか。
かなり心に来て、ずーんと気分が暗くなる。
「あ、ごめんね。その……ネーミングセンスとかないから、色々調べてから名前付けたいの。だから、ちょっと待ってくれる？」
「は、はい……。」
今度は彼女が、優しく私を抱きしめる。
「……私も、あなたにしたいことがたくさんあるの。一緒に思い出作ろうね。」
心にぐっ、とその言葉がめり込む。
彼女とならば、きっといい思い出がたくさん作れる。
それに、きっと人間以外も食べられる。
それから数ヶ月が経った。
私とA様は一緒に暮らすようになり、私も他の動物の肉を食べられるようになった。
しかし……。
「A様、まだ契約をしていただけないのですか？」
私はまだ、契約をしていただけない。
「ご、ごめん！えと、いいのは思い浮かんでるの！」
「そうなのですか！聞かせてください。」
ええと、と彼女がノートを出す。
「
ミア。
心にすんと届く言葉。
最近はずっと色々な図鑑を見ていた彼女だから、本当にたくさん悩んで決めてくれたんだろうと思う。
「ミア……。いいですね、とても。」
「ほ、ほんと？じゃあ、ミア……ええと、私の使い魔になってください。」
彼女が少し照れくさそうに言ってくる。
「……ええ、私からお願いしたいくらいです。A様、これからよろしくお願いいたします。」
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作者名：ツルウメモドキ | 作成日時：2020年4月15日 14時
