魔法使いの恋慕 (ページ17)

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17 哀願ページ17

「ふむ。それならばわしと会った時と合点がいく。わしがブリーズと会った時、この子は竜の雛を助け、左腕に毒を浴びておった。」

そう、この間会ったあの雛。あの子を抱えて走って、それから黒いローブを纏った人に何かをかけられて、

でも雛だけは守らなきゃって走って走って、

魔法を使ってこの子の家に連れて行って、ってお願いしてここに来たんだ。

「毒を……。A様、本当に申し訳ありません。私は、もうあなたの側に居る資格は……。」

そして後ろを向き、湖の方へ向かおうとするミア。

「そ、そんなことないよ。あなたが助けてくれなかったら、あの雛だって助けられなかったんだよ。私はあなたが好きだから、側にいて欲しいな。」

このやり取りも、随分懐かしく感じる。

私とミアは、2人だけでずっと一緒にいたから……。

「A様……！」

私に抱きついてくるミア。

ミアは暫くしてはっ、として突然私から離れると、リンデルさんの方を向く。

「リンデル様、申し訳ありません。我が主がここまでお世話になった手前、こんなことを頼むのはとても申しわけがないのですが……。」

「む、なんだ？」

「A様を、もう少しここへ置いて頂けないでしょうか。」

え、と声が漏れる。

あの森が大好きだったミアが、そんなことを言うだなんて夢にも思わなかった。一緒に住んでいた家も、あの森にはあるのに。

「理由を聞いてもいいか？」

「はい……。私とA様が住んでた家は、恐らくあの密猟者の仲間に荒らされていました。家は外壁から内壁まで殆ど全てが崩されており、家にあった僅かな金も、全て盗まれております。私の独断ですが、今はあの家に住むのは得策ではないと思った次第です。」

そして、お願いします、と頭を下げるミア。