第55話 ページ10
A「ごめんなさい!」
「!」
私はそのまま、続けた。
A「ついカッとなってタメ口使ったり目の前で叫んだり……戦闘中とはいえど嫌な気分にさせてしまってたら申し訳ないです。」
「……そんなことで、謝りに来たの?」
A「重要なことですし……」
顔を上げると、彼はぽかんと口を開けていた。
が、次第に口角をあげて、そして笑い出した。
「なんだ、思ってたより面白いね、君!」
A「え!?」
「あっはは!あ、そうそう僕の名前はレオンだよ。
いくら植物魔法の使い手だからって草食系の人って呼び方は安直だったね、まあ面白かったけど!」
A「でも、さっきは凄い嫌そうな顔を……」
レオン「そりゃあ急に笑いだしたらおかしいし。
……あと、僕の方こそ悪かったよ。煽り、嫌だったでしょ」
彼は困ったような顔をして言う。
……なんだ、その戦法はあまりよくないって分かってるんじゃないか。
A「いや、そんな……」
ロネ「おーいAー!もー急に走り出さないでよ……ッは!お前はさっきの煽り男!!」
ロネが私のところまでやってきて、レオンを指さしながら叫んだ。
レオンはそれを見てふふ、と微笑んでからこちらに向き直り、
レオン「じゃあ、またね。A。」
と言った。
A「……うん、また……、またね、レオン、くん」
そっと離れながら手を振る彼は、何故かとても好青年に見えた。
……なんだろう、この、さっきとのイメージの格差。
ロネ「……Aいつあんなやつと仲よく……やめとけやめとけ!あんなやつ!」
A「……あのね、ロネ。」
ロネ「ん?」
怪訝な顔をするロネの手を掴みながら、彼が去っていった方向を見つめながら、私は言った。
A「あの人、案外いい人だったよ。」
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作者名:まかろ&凛音 | 作成日時:2016年4月8日 20時