第58話 ページ14
ロネが行ってしまったあと、先程まで言い合いをしていたサクヤとレンは二人とも黙り込んだ。
元々口数はそこまで多くない2人だけど、あまりにも顕著に静かになったので、少し心配になる。
ブロックを終えたシグは、ライアが出したトーナメント表をじっと見つめている。他のブロックでも見るのは楽しいらしい。
A、Bと書かれたボタンのような所を押しては鼻歌を歌いながら対戦カードを目で読んでいく。
その横でライアは髪を縛り直していた。横にひとつにまとめ、少し乱れている髪を丹念に指で
……さて、暇だ。
シグ「……ねぇA?」
A「……んっ!?なに?」
ぼんやりとしていた所に、シグが声をかけてきた。
シグ「Aは同じ学校から来た友達とかいないの?最初からロネとか、サクヤたちと一緒にいたみたいだけど」
優しく穏やかな声で訊ねた。
小さく首を傾げる動作と同時に、そのふわふわな髪が揺れる。
A「んー……いなくはないんだけど……友達じゃないんだよね」
シグ「知り合い程度、ってこと?」
A「うん、本当に名前しか知らない」
彼は私とは正反対だった。
魔法成績が抜群によかったのは確かで、この学園への合格は誰もが確信していた。実際受かったし。
だから、よく驚かれたものだ。彼はまだしも、Aも受かったのか?と。
私は魔法成績はそこまで、いや、全然よくなかった。代わりによかったのは学力と物理的攻撃――剣術ぐらいだ。そんな私が彼と同じ学校に受かったなんて、周りの人は信じられないと思ったかもしれない。私もまだ何で受かったのか分からない。
シグ「そっか。その人は何魔法なの?」
A「確か影魔法だったかな……あの人、すごく強かったんだって。頭もいいし、学級委員もやるし……それこそシグみたいにハイスペックだったみたい。ただ、融通が効かない人って聞いたよ。」
シグ「影魔法かぁ……」
カッコイイ魔法だよね、とシグは微笑んだ。
すると、バタバタと誰かが走ってきた。騒々しいその音に振り返ると、ロネが帰ってきていた。
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作者名:まかろ&凛音 | 作成日時:2016年4月8日 20時