目指せあの頂上へ (ページ42)

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第40話ページ42

Aside

ロネが淡々と話す中、私たちはとにかく絶句するしか無かった。

シグが有名な魔法使いの息子だという事も、双子だという事も、……幼い頃は魔法が使えなかったという事も、全部初めて聞いた。

そんな素振り、見せていなかった。

そしてシグが母に呼ばれた、という言葉をロネが発した時、シグはやっと口を開いた。

シグ「……その時何を言われたかは、正直言って覚えてない。
でも多分、ハルは僕より優秀な子だから、もう僕が兄貴ぶって偉そうにしてはいけない……みたいな話だったと思うんだ。その時から僕、前向きに物事を捉えられなくなっちゃって……

笑っちゃうよね、それだけでこんなふうになっちゃうんだから。」

ハハ、と乾いた笑いをするシグはとても辛そうに見えた。

そして、シグは自分を包む水を魔法で吹き飛ばした。

サクヤ「……有名な魔法使いの息子だからって、凄い魔法使えるとは限らないのにな。」

ライア「……この世の人は、現世を平和にしてほしいばかりに優秀な魔法使いを求めています。
シグさんに期待がかかるのも、仕方ない事なのですが……それにしても……」

2人も、シグになんと言っていいかわからない様子だ。

シグは再び話し出す。

シグ「僕、幼い頃はそういう訳で、落ちこぼれだって避けられてたんだ。
だから友達もいなかった。作って、その子の親が哀れむ目で見てくるのを耐えるのも辛かった。
それならずっと1人でいようって、そう思ってたんだ。」

ロネ「で、その話には続きがあるんだけど……寮着いちゃったね。続きは部屋でしよう。」

シグ「……もうよくないかな……恥ずかしいんだけど」

シグが顔を僅かに染めている。
本当に過去の話はあまりして欲しくないらしい。

ロネ「えぇー？ここまで話したらもう全部話すしかないでしょ」

シグ「んー……そうだけど……」

シグは否定したそうだったが、諦めたらしく、「しょうがないなぁ……」と呟いた。

ロネ「よっし！じゃあみんな部屋に戻るぞー！」
A「おっ、おー！？」

あっ……つい乗っちゃった。

ライア「では戻りますか。シグさん、また夕食時に。」
サクヤ「レンに…よろしく伝えられたらよろしく。」

サクヤはさっきの事を思い出したらしく、言葉を濁した。

ロネ「……大丈夫だよシグ。許してくれるから。ちゃんと謝るんだよ！」

ロネは寮へ戻る直前、シグに言った。

シグも「うん」と笑った。