目指せあの頂上へ (ページ41)

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第39話ページ41

毎日諦めずに頑張るシグを、天は救わなかった。

ある日の夜、彼はどうしても寝付けなかったため、リビングへ水を飲みに起き上がった。

「あれ……電気がついてる……？お父さんたちまだ起きてたんだ」

そう思い扉に手をかけると、中から両親の話し声が聞こえてきた。

「やっぱりハルは優秀ね！本当に自慢の娘よ。」
「そうだな。しかし……シグはどうして魔法が目覚めないのだろうな。同じ双子なのに」
「いいわよあんな落ちこぼれ。元々素質が無かったんでしょう。」
「そうか……」

落ちこぼれ。
両親には言われることが無いだろうと信じていたその言葉。

ずっと味方でいてくれるって信じてたのに。

シグはその場に立ち尽くし、動けずにいた。
息が苦しい。
心臓がうるさいぐらいになり続ける。

過呼吸になるんじゃないかと思うぐらいに息が乱れ出す。そんな時だった。

「……お兄ちゃん……？どうしたの……」

ハルが目をこすりながら起きてくる。

こいつが。
こいつがいるから。

今まで感じたこともないどす黒い感情が、彼の中で渦巻く。
僕がこんなに責められるのは何もかも……

「ねぇ、お兄ちゃん……」
「……っるさい！！お前のせいだ！こっち来んな！！」

気づいたら、そんなことを口にしていた。
普段の口調とは掛け離れた、心の底から出てきたものだった。

慌てて取り消そうとしてももう遅い。

ハルは呆然とこちらを見ていたが、すぐ顔を歪ませて「ごめん……なさい……！」と部屋に戻っていった。

「……シグ、ちょっとこっち来なさい。」

背後から聞こえてきたその声。
振り返るとそこには、無表情の母がいた。