桜色の幽霊 五 ページ7
「塩水……ですか？」
「うん。ここに君の死体が埋まってるんだっけ？」
赤松さんは全く臆する事もなく、湿った土に触れた。
「そうなのぉ！ その液体をかけられてからぁ、身体中が痛くて痛くてしょうがないのー！」
「塩って、浄化の力があるんですよね……」
以前、赤松さんから教えて貰った事だが、霊体には塩が針のように鋭く突き刺さるのだという。
「そうそう、痛いのは当たり前だよ。とりあえずこれ」
赤松さんが桜の木に貼り付けたのは、人間の形をした白い紙。
「なぁに？ この小さい紙……」
「人形っていって、貼り付けたものの痛みや熱を代替わりしてくれるんだ。これが剥がれない限り痛くないと思うよ」
どう？ と赤松さんが顔を上げると、咲良さんはうっとりした表情で彼を見下ろす。
「素敵！！ ちっとも痛くないじゃん、二人共ありがとー！！」
「いやいや。ところで、さっきの男の子の話なんだけど」
塩水を持って来た少年というのは、大木くんの事だろうか。
「あの子ねぇ、こないだ突然ここに来て、酷い事したのよ！！」
咲良さんの話によると、一週間ほど前、夜の校庭に忍び込んだ大木くんは、校舎には入らず、真っ直ぐにこの桜の木に歩いて来たらしい。
「私ぃ、故あって成仏してないけどー、いっつもここに出てるわけじゃないからぁ、何しに来たんだろうなーって、黙って見てたの。そしたら急にペットボトルに入った塩水取り出してね！」
木の根本にそれを撒かれた途端、身を切るような痛みを感じた咲良さんは、慌てて大木くんを止めに入った。が、目が合った大木くんはただ一言『ごめんなさい』と告げて、そのまま校庭を立ち去ってしまったのだ。
「校庭のすみっこの桜の木なんてぇ、誰も気にしないでしょー？ それこそ幽霊が出たって噂でもないとー……だから、ずっと塩が土に入ったままで、痛いなーって思ってたの！ 助けてくれて、ありがとね！」
咲良さんは赤松さんに向けて、ぱちっとウインクしてみせた。私には軽い会釈だけをして。
「……大木くんは、何故そんな事をしたんでしょう？」
「さぁ……その男の子に見覚えはなかったの？」「なかったなー。全っ然知らない子だったよー！だから余計『どうして？』って感じで……」
あの子オオキくんっていうのかー、と咲良さんは呟く。私は、赤松さんが地面の方を見ているのに気づいた。
「どうかしたんですか？」
「……これ」
桜の木の根本に、橙色の鳥のキーホルダーが落ちていた。
ラッキーカラー
橙色
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くろーさぎ(プロフ) - 造山監督帯( ⊇･ω･⊇)~ｷﾉｺ~ﾉｺﾉｺ~さん» コメントありがとうございます！(≧∇≦) (2019年8月21日 7時) (
レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
造山監督帯( ⊇･ω･⊇)~ｷﾉｺ~ﾉｺﾉｺ~ - ((((；ﾟДﾟ))))))) (2019年8月21日 1時) (レス) id: e5491ec8cb (このIDを非表示/違反報告)
くろーさぎ(プロフ) - サルンラップさん» コメントありがとうございます！！咲良ちゃんは個人的にお気に入りですww閲覧ありがとうございました！！ (2019年7月29日 18時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
サルンラップ - すごい面白いです！咲良ちゃんなんか好きだなあw更新頑張ってください！ (2019年7月29日 18時) (レス) id: 306dfa2dd3 (このIDを非表示/違反報告)
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