検索窓
今日:13 hit、昨日:1 hit、合計:84,399 hit

Who are you ページ3

目が覚めた。

目は覚めたけど、体が痛いし怠いしで、目が開けられない。
体の感覚もない。
今ここがどこかわからない。
あ、でも1つわかる。
ここは、あの場所じゃない。

あったかくて、どこかふわふわした場所に寝ている。
瞼が開けられないのは、眠いからっていうのもあるだろう。


「ん…」


目は開けないまま、少し息を吐く。
ふう、と口を少し開くと、涼しい空気が体に入り込んだ。
気持ちいい。
ここで気づいた。
ここはベッドだ。
僕の肩から下に毛布がかかっていて、身体中についた傷が火照るように熱い。


「けほ、けほっ、けふっ、あ、けほっ」

「…あ、起きたの?」


喉に何かが詰まって、咳き込むと、誰かの声が聞こえた。
それでも咳は止まらなくて、ずっと胸を上下させる。
誰かは僕に近づいて、上半身を抱き起こした。


「大丈夫?ほら、ゆっくり息吐いて」

「は、あ?は、は、けふっ、はっ」


誰だ、と問いたいのに、咳で声が出ない。
うっすらと目を開けると、白い髪が目に入る。
ふうふう、と荒く息をする。
揺れる白髪と光る赤い目が目に入った。


「ん、大丈夫。ね、ほら」

「ん、ん、ふ、はぁ、ふ、」


ふわふわと背中を摩られ、少しずつ息が整う。
本当に、この体質をどうにかしたい。


「よしよし」

「は、あ、…だ、れ…」


やっと声を出せた。
でもまだ喉が痛い。まだ枯れてる。

また誰かは僕の側から何かを取って、僕の口に押し付けた。


「ん、飲んで」

「なに…これ…」

「飲んで。いいから」


ぐ、と喉に液体が押し流される。
喉から胃につながる管が熱く焼ける感覚がした。
でも、その感覚が心地よくて、思わず目を瞑る。
僕を見て、誰かはまた笑う。


「ん、いい子。僕の声、よく聞こえるようになったんじゃない?」


あ、本当だ。
くぐもっていた声が、はっきり透き通って聞こえる。
コクリと小さく頷くと、誰かはニッコリ笑った。


「僕の名前は真冬。フラスト帝国第一皇子。よろしくね?」


優しく笑う真冬は、僕の愛する母国の最大の敵だった。







今思ったけど、フラストってフラスコに似てるね?

In the old days→←Where am I



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (253 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
371人がお気に入り
設定タグ:歌い手 , 男主 , BL
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

グレン - 一回ここに入りなおしたのでidが違うけどおんなじグレンです!更新ありがとうございます!!めちゃくちゃ楽しみだったのでとても嬉しい( ´艸`)です!これからもよろしくお願いします! (2018年8月30日 18時) (レス) id: 6ba2a539d5 (このIDを非表示/違反報告)
奏多(プロフ) - グレンさん» ありがとうございます!頑張ります! (2018年8月23日 20時) (レス) id: 9dff9c1b2f (このIDを非表示/違反報告)
グレン - 主くんがめっちゃ可愛い!とても可愛い!!更新頑張って下さいね! (2018年8月17日 18時) (レス) id: 1c34feec5e (このIDを非表示/違反報告)
奏多(プロフ) - グレンさん» ありがとうございます!頑張ります〜 (2018年8月14日 20時) (レス) id: 9dff9c1b2f (このIDを非表示/違反報告)
グレン - この作品大好きです!更新頑張って下さい!ノシ (2018年8月14日 19時) (レス) id: 1c34feec5e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:奏多 | 作成日時:2017年11月5日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。