50 ページ1
.
「 あの 」
紫耀がいない間、
携帯を弄っていると声をかけられた。
「 はい………？ 」
顔を上げると、可愛らしい女の子が立っている。
目が合うと、怖いくらいに微笑んだ。
「 隣に居った方、彼氏さんですか？ 」
思わず顔に出そうになるけど、
破裂しそうな心臓を抑えて微笑んだ。
「 違いますよ？…友達です 」
必死に笑顔を作って女の子と向き合う。
でも、その子は引かなかった。
「 ほんまですか？
付き合ってもないのに手繋ぐんですか？
嘘つかないでください 」
………手、繋ぐって、
このコいつから私たちのとこ見てたん…？
怖くなって、背筋が凍る。
「 えっと、 」
「 紫耀くんの彼女なん？どうやって出会ったん？ 」
やばい、これ、ほんまにあかんやつや…
逃げなきゃ、って思って立ち上がると
その子に思いきり手首をつかまれた。
「 どうせ、紫耀くんのファンなんやろ？
紫耀くんの彼女がこんなブスとかありえへん 」
………………怖い。
紫耀「 おい 」
いつの間にか戻ってきていた紫耀は、
少し息切れをしながらわたしの腕を引いた。
「 紫耀くん……… 」
紫耀「 何考えてんの？
俺ほんまにそういうやつ嫌いやねんけど。
この子は、俺の大切な友達やねんから、適当なこと言って傷つけるんならファンやめてもらって構わへん 」
淡々と言う紫耀は、
いつもみたいな柔らかい雰囲気もなくて、
声も低くて…………守られているはずのわたしでさえ、怖かった。
大好きな人に、こんなこと言われるなんて
ショックなんて一言じゃ済まないはず。
女の子は泣きそうになって、
そのまま逃げるように去っていった。
でも………
その背中を見ながらわたしは恐怖感を覚えた。
もし、わたしがファンを隠してるって言ったら
紫耀はさっきみたいに怒るんじゃないか、って。
さっきの紫耀の冷たい目が
脳裏にこびりついて、
あの子といつかのわたしを重ねて、
自然と身体が震えていた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2886人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
songon100(プロフ) - 一気読みして、幸せでしたー。最後だからと抱きしめて、だいすき...はギュンしてもってかれました！ (2019年12月24日 23時) (
レス) id: 805e302938 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい - 一気に読んでしまいました！すごいおもしろかたです！まだまだ読みたいです(^-^) (2018年4月30日 22時) (レス) id: a62c72f2bc (このIDを非表示/違反報告)
恋叶(プロフ) - 見るの遅くてすみません(;_;) とっても感動しました！！ 現実味もあって、話の展開などとても面白くて、一気に全部読ませていただきました！ (2017年10月21日 20時) (レス) id: a56513e91a (このIDを非表示/違反報告)
しろぷ - めっちゃ面白いですー！あと、完結おめでとうございます。この作品、ドラマ化すれば良いのに！って思ったぐらい面白かったです。お疲れ様でした。 (2017年1月29日 18時) (レス) id: 1c23298395 (このIDを非表示/違反報告)
り ー ぬ(プロフ) - 面白くて1から2一気に読ませてもらいました!!とても感動してました！これからも楽しみにしてます!!! (2016年9月22日 17時) (レス) id: 4fb0fdd10b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぺぺ子
| 作成日時：2015年10月22日 18時
