第23話 ページ24
私が「高山」さんと初めて会ったのは高遠さんが修行を終えて独立した1年半後だ。
散々師匠にマジシャンは向いていないから諦めなさいと説得されたが私は諦めず、やっと独立したのは高遠さんが旅立って1年後の事だった。
貴「今日もだめだった・・・」
私は夜の公園のベンチに座って月を見ていた。
来日してもう半年が過ぎたが私には仕事が無かった。
師匠のネームバリューのお陰で話は聞いてもらえるが、人が苦手でろくに話す事が出来ない私は交渉することができずチャンスを全て水の泡にしていた。
貴「これで何回目かな・・・・・・」
師匠の顔に泥を塗っている自覚はある。師匠の弟子がこんなポンコツでいいわけがない。
そう考えるとじわりと涙が滲んできた。
高遠さんに会いたい・・・高遠さんは優しくてとてもかっこよくて、どこかミステリアスで凄く頭が良くて・・・初めて私を褒めてくれた人・・・・・いやこんな私にそんな資格など無いだろう。こんな私と兄妹弟子なんて恥ずかしいはずだ。
貴「もう死にたい・・・」
ポツリとこぼした言葉に返事をするようにその声が聞こえた。
―お嬢さん、こんな夜更けに1人でなにをしているんですか？
！？
突然した聞き覚えのある男性の声に主人公は驚いて飛び上がった。
貴「た、高遠さん！！！」
高遠は困ったような笑みを浮かべて彼女を見つめた。
高遠「貴女ときたら師匠の反対を押し切って独立なんて・・・もうわかったでしょう？この世界は甘くは無いんですよ。」
貴「ッ今日も断られました。」
高遠「そうですか。ま、仕方ないですよ。貴女、私と師匠以外の人間とロクに話も出来ないじゃないですか。師匠が心配してましたよ？どこかで野垂れ死ぬんじゃないかってね。」
貴「・・・ごめんなさい・・・まさに今、死にそうでした。」
高遠は主人公の隣に座るとジャケットを脱いで彼女の肩にかけた。
高遠「上着は？風邪をひくでしょう。」
貴「・・・・・お金に困って・・・売りました。一応ブランド物だったのでいい値で「そんなことになっているならなぜ私に連絡しないんです？番号は知っているし、困った事があれば連絡するように言っていたでしょう？」
高遠の言葉を聞いた瞬間、彼女はダムが決壊したかのように泣き出した。
高遠「泣くのは温かい場所で、さぁ立って。お家はこの近くでしょう？」
貴「はい・・」
高遠「じゃあ、行きましょう。」
そうして、彼女のアパートまで2人で向かった。
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リリシア(プロフ) - 読んでいるこちらが赤面しました！更新を楽しみにしています (2021年11月23日 19時) (
レス) @page37 id: b4560dd72a (このIDを非表示/違反報告)
咲くや - 面白くて続きが気になります 更新頑張ってください。 (2021年10月14日 23時) (レス) @page14 id: 2369d330ed (このIDを非表示/違反報告)
リリシア(プロフ) - 明智さんとどうなるのか気になります♪ (2021年3月3日 19時) (レス) id: b4560dd72a (このIDを非表示/違反報告)
ycamelliayhighf(プロフ) - とても面白かったです！！更新を楽しみにしています！ (2021年2月18日 12時) (レス) id: f576afea94 (このIDを非表示/違反報告)
かおりん(プロフ) - camelliaさん» コメントありがとうございます！凄く励みになります。今後ともよろしくお願いします。 (2019年7月4日 20時) (レス) id: f0f7253053 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かおりん | 作成日時：2019年7月3日 0時
