魚人島4 ページ42
コトアside
ラミって言ったら
亡くなった船長の妹さんだ
もし生きていたら私と同じくらいの歳だっただろう
強く握り締められる私の腕
今の船長の感情が手に取るように分かった
自分1人だけ置いていかれる悲しさも辛さも
私は知っている
どんなに手を伸ばしてももう二度と届かない
伝えたいことも伝えられない
引き止めることも出来ない
船長の感情が分かるからこそ
この手を振り払うことなんて出来なかった
コ「お兄様、私はここにいます
私も父様も母様も、どこにも行きませんから
だから今は、ゆっくり休んで」
気がついたら船長の手を握ってそんなことを言っていた
まずかったかと思ったが
安心したのか船長は眠ってしまった
布団から出た腕を入れ直す
水を持ってこようとドアノブに手をかける
その時ふとあることを思い出した
昔、あの人に、父さんに1度だけやってもらったおまじない
私が風邪を引いた時に1度だけやってくれた
とても安心できるおまじない
ゆっくり船長に近づく
前髪で隠れている額をあげて
口付けする
そして、一言
コ「おやすみ、私の可愛い子」
我に返り、顔が熱くなる
急いで部屋から出る
ドアの前でうずくまって熱が冷めるのを待つとペンギンくんがシャチくんを連れて帰ってきた
ペ「あれ、コトア
そんなところで何やってんだ？」
コ「な、なんでもないです」
顔を見られたくなくて俯きがちに言う
シ「あれ、なんか顔赤くない？
もしかして……」
コ「ち、違うんです！！
ほんの出来心で！！
決して下心があったとかそんなんじゃないんです！！」
しまった
余計なことを言った
シ「お、おう？汗
いや、俺は船長の風邪が伝染ったのかなぁと思ったんだけど」
シャチくんは不思議そうな顔をしていたがペンギンくんは何かを察したのかニヤニヤしている
ペ「まぁ、今は船長が先だ
コトア、あとで教えろよ」
素晴らしい笑顔で言われて赤くなった頬が今度は青くなった
自分で墓穴を掘るとはなんと愚かな……
コ「船長、今寝たばっかなので薬はあとの方がいいですよ
今からお粥作るので船長のことお願いします」
ペ「おう、わかった笑」
はぁ、、、
家族でもないのにやってしまった
恋人ならまだしも私はただのクルーだ
船長が覚えていないことを願う
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 25人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ヒツジーヌ x他1人 | 作成日時：2021年4月15日 18時
