北の海23 ページ50
コトアside
ビ「このガキッ！！
あーそうだ
いいもの見せてやるよ
おい！連れてこい！！」
そこには沢山殴られて今にも死んでしまいそうな父さんの姿があった
エ「コトア逃げろ……」
コ「父さん！！」
ビ「俺たちの周りをこそこそ嗅ぎまわって、迷惑してたんだ
ちょうどいいな、消しちまうか」
コ「やめて！！」
頭に血が登りもう何も考えられずビーダルに飛びかかっていた
何度も何度も殴ろうとしてもどうしても当たらない
ビ「お前らやっちまいな！！」
コ「いや！！だめ！！」
ビ「お前の相手は俺だ」
さっき私たちに投げてきた大きな斧を振り回しながらこちらに寄ってくる
大きく重いはずの斧もビーダルは軽々しく振り回している
避けることだけで精一杯だ
そうこうしているうちに敵の一人が父さんの背中に刃を向けた
だめだよ
私からその人を奪わないで
私から家族を取らないで
懸命に手を伸ばす
だけどその手は届かなかった
腕を折られた
腹をえぐられた
足を斬られた
でもそんなの気にならなかった
父さんを守れるなら痛くなかった
動けなくなって這いずりながらも進んだ
敵が剣を振り上げた
間に合わないとわかっていても足掻かずにはいられなかった
父さんから目が離せない
涙で顔がぐちゃぐちゃになってよく見えない
でも確かに聞こえた
父さんの声が
エ「コトア……守ってやれなくてごめんな
生きろ……お前は生きろ」
コ「いや、いやだよ、一人にしないで…」
その言葉を聞いた父さんは悔しそうな顔をした
ザクッ
敵が剣を振り下ろした
血しぶきをあげて父さんは動かなくなった
目の前で斬られた父の姿を私は見ることしかできなかった……
その時私の中で何かが切れる音がした
生まれた時から何かが繋がれていた鎖が弾け飛んだ気がした
ドクン、ドクンと心臓の音がよく聞こえる
意識が遠のく……
最後に思ったことはただ1つ
……さない……
…るさない……
許さない……！！
殺してやる
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作者名：ヒツジーヌ x他1人 | 作成日時：2020年3月3日 15時
