∠ ページ7
「………あー怖かった」
震えが止まらねええ。こええええ。ダガーをホルスターにしまおうとした。そのときーー
「隙あり！！」
「えっ！？」
後ろを振り向いたとき、近くまで違う海賊が迫っていた。い、いつの間に！？ 手には剣。振り下ろす先は、私。サードアイを作動すればいいのにと思ったが、それは後の祭り。私は真っ二つに切られーー
「ゴムゴムのぉ……ピストル！！！」
とはならなかった。横から割り込んできた腕が海賊を遠くに飛ばした。みょーんと伸びる腕には嫌にでも見覚えがあった。
「あっぶねーあっぶねー！ あぶないとこだったなあ、お前！」
麦わら帽子を抑え、今しがた海賊を殴った腕をグルグルと回しほぐしている。赤いベストの男。ル、ルフィだ！！
「ありがとう……ございます……」
「いいってことよ。俺はルフィ！ 海賊王になる男だ！」
「あ、どうも、ご丁寧に。私は……ドリーといいます」
「おう、よろしく！」
死の危険から逃れた後に平常にお礼を言えたのは奇跡。咄嗟に偽名が出たのも奇跡やぞ。
「なってめえ仲間に何してやがんだ！」
「おっいっぱい来た」「ひぇ！？」
同じ海賊船の仲間に見つかった。あ、あれ、けっこう多い。えーっと、ひーふーみー……たくさん！？
「いやぁぁぁ来るなぁぁぁぁ！！！」
「なんだドリー。一人倒せてんだからヘーキだろぉ！」
訝しげな顔でルフィが見てくるがムリムリムリ、勝てない！！！ ていうか、馴れ馴れしくなるの早えな！
「できねえよぉ！！ 平気なわけあるか一対一と大乱闘じゃルールが違えよ！！！」
敵が私たちに襲いかかってきた。ルフィは海賊たちを難なく倒していく。私はというと、気絶されるか転ばせるかに精一杯だった。まだ切ってないからセーフ！！ セーフ！！
「やるじゃねーか！ なんだ、できねーってのはウソか」
ルフィと背中を合わせて敵と対峙する。ルフィはバカみてえに強いから安心して背中を任せられるなあ。私たちのあまりの強さに引き腰になっている敵にダガーを構える。動いたらこかすからなゴラ。
「嘘じゃねえ。できるけどできねえ、だ」
「ん？ ソレどういう意味だ？」
あー、今のは伝わりにくいよな。
「戦えるけど戦いたくねーの！！」
言い直した後、敵が襲いかかってきた。私はまたサードアイを発動させる。ヤツらの獲物の軌道が読める！！ 全員、沈ませたらぁ！！
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作者名：妖怪妄想ババア | 作成日時：2018年7月24日 1時
