14. ページ16
Aside
1回裏。1アウト満塁で私の打席。
相手ピッチャーは今村。
得意という訳でもないけど、苦手でもないピッチャー。
登場曲はこれまで嵐のファイトソングを使っていたが、怪我からの復活なので心機一転に、と今日から今年の甲子園の曲である嵐の夏疾風を使うことにした。
｢6番 ショート 山野｣
私の名前がコールされたとき、｢さあ舞い上がれ 夏疾風｣と嵐の歌う声とともにおかえりー！とかのんー！とかいろいろな歓声が聞こえてきた。
泣きそうだよ、もう。
ただの骨折なのに。
帰ってくるのにこんなにもかかっちゃって。
嬉しい。私を必要としてくれてるんだって思う。
打席に入る前に少し伸びをする。私のルーティン。
そして打席に入って、お願いしますと挨拶する。
1球目はボール。落ちる球が少し外れた。
2球目はファウル。ヒット性の当たりだったけどね。
そして3球目。
捉えた。ほぼ360度全体から歓声が聞こえてくる。
レフト線。打球はポールに直撃。
復帰1打席目が、まさかの満塁ホームランなんて。
誰が想像していたことか。
思わずガッツポーズしちゃったよ。
高代さんとハイタッチしたら待っているのは最近変わったという一塁コーチの久慈さん、一塁ランナーの嘉男さん、2塁ランナーの福留さん、そして3塁ランナーの健斗。
どこからハイタッチするべきなのか一瞬迷ってしまった。
プロ初いや、人生初の満塁ホームランでしたから。
まずは久慈さんとハイタッチ。
次は嘉男さんとハイタッチと思いきや、嘉男さんが抱きついてきた。
嘉男さんらしくないなあとは思いつつ、福留さんもいつも以上に強いハイタッチ。痛い。
そして最後に健斗。何故か涙目。それ普通私がする表情だろと思いつつ、抱きつく。
どんだけ喜んでるんだよ私ら。
これ報復死球喰らいそうだな、ってくらい喜んでるぞ私。
ベンチで待ってるみんなもいつも以上に強いハイタッチをしてきたり、色々ポーズをとったりして。
帰ってきた喜び、ホームランの喜び、たくさんの感情がこみ上げてくる。
今日が生涯で1番楽しい日だわ。
絶対これを超える出来事はないもん。
.
続く (更新停止中)
お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←13.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 39人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：saya. | 作成日時：2018年9月12日 15時
