【ONE PIECE】またいつかお会いしましょう (ページ36)

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136話ページ36

そもそもG5に移る時点で、サカズキにはそのまま辞めるかもしれないということは伝えていたのだ

サカズキは、元よりAが海軍にいること自体が嫌だったため当然了承されていて、電伝虫での連絡のみで構わないとすら言われている

そのことを言うと、スモーカーは深いため息をついた

｢話がついてんならいいが……お前、やっぱり元は海賊なのか｣

｢海賊で収まればいいんですけど…どう足掻いても、私がこの先世界政府の敵になることは避けられないでしょうね｣

レイリーから聞いた話もあってもっと深いことまでAは知っていたが、そのことは言わずスモーカーもそれ以上の言及はしなかった

そんな会話をしていると、ローが立ち上がってこの場を去ろうとする

Aがスモーカーと、海兵として最後に話したいことがあるだろうと考えたからだ

Aもその優しさに甘えようと、したのだが、手は何故だかローの長いコートの端を掴んでいた

｢……？傷でも痛むか？｣

スモーカーもローも不思議そうにAを見つめている

｢あ、の……雪の中でローの後ろ姿を見ると、消えてしまいそうな、気が……｣

自分でも、何を言っているのかわからないまま言ったが、ローは思い当たる点があってAと目線を合わせるように屈んだ

｢雪で、何か思い出せることはあるか？｣

｢……はっきりとしたことは何も…ただ、大切な何かを失ったような、｣

｢そうか｣

Aの言ったことを否定も肯定もせずにいると、Aは不安げにローを見る

｢早く記憶を戻したいと思う反面、記憶が戻ることを恐れている自分もいます｣

記憶を失ってしまうほどショックな出来事があったということだ

それを思い出すのは精神的にはきっと辛い結果になるのだろう

｢ロー…ここに、いてください｣

スモーカーは、普段怖いもの知らずで誰にでも弱さを見せないAの弱さを初めて見て、驚きを隠せずにいた

ローはAの隣に腰を下ろす

｢そこまで思い出せているのなら充分だ…俺は専門外で詳しいことは知らないが、記憶をなくすのは言わば精神的な病気、無理に思い出させようとはしない
いつ記憶が戻ってもいいように心の準備くらいはしておけ｣

｢……私は…自分で思っていたより弱いみたいですね｣

Aがさっきとは違って弱々しく笑うと、ローとスモーカーは同時にAの顔を見る

｢お前が弱い？面白い冗談だな｣

｢仮にも海軍中将のお前が弱かったら、うちの組織はどうなるんだ｣