君について ページ35
あ、来た来た。
全くもぉ〜、僕、すっごく待ったんだからね！
君が 月影 Aについて知りたいって言うからここまで来てやったのに待たせるなんていい度胸だと思うよ笑。
え？ごめんっていいよ！謝らなくても。
これでも、人を待ってる時間も僕は好きだからさ！
じゃあ、教えてあげよっか。
月影 Aっていう女性の素性をね…
23年前、魔法界では魔法省と解放軍っていうヤツらが争ってたんだ。
魔法での決闘も非人道的な行いもそんなもの関係なしに、争いに関係のある人はもちろん、関係の無い人までもが日に日に死んでいった。
でも、その争いは突然終わる。
なんでだと思う？
正解はね〜、魔法省直結の部下である｢不死鳥｣っていう部隊の隊長の2人に強制的に作らせた子供が出来たから。
面倒なことにお母さんにあたる人の方がシリウスの血を引いててね〜。
まぁ、そんなことがあって争いは魔法省の勝利で終わったんだよ。
でも、とある問題が起きた。
それは、その子供を誰が育てるかっていう問題。
その事について魔法省の大臣の間で会議が開かれた。
最終的な結果は、｢あいつを魔法省の道具として育てる｣という非人道的にも程がある結果だった。
魔法省の安全と平和の為に○○を殺せと命じられればその人を殺し、死ねと言われれば自らの命を絶つ。こういうことだった。
自分勝手にも程があるよね〜、本当に昔から自己利益しか考えてないんだから。
それから、5年間、アイツは誰も知らない魔法省の地下牢に1人で暮らしていた。
あいつに名前や人格、意思なんてものは存在しない。
だって、道具にそんなものいらないでしょ？
でも、そんな暮らしから脱出するある機会があった。
それは、当時 月影家当主の月影 勇翔のある提案だった。
｢あんな幼子に苦痛を味合わせるのが楽しいか？魔法省よ。
毎日毎日、魔法省のヤツらにこき使われる幼子の姿を見て心が痛くならんのかね。
あの幼子は私が引き取る。なにか異論はないかな。｣
その場にいた全員が息を飲む。
勇翔の鋭い眼光で睨まれたら、誰もが自分の心臓を握られている様な感覚に陥るから。
｢名もなき幼子よ、今日から君の名はAじゃ。いいね？｣
『ねぇ勇翔様。これは何？』
そう言って、Aは勇翔に自身の顔を見せた。
Aの頬に伝っていたのは涙だった。
それは、Aにとって初めての感情だった。
どう？これが月影 Aについて
面白かったかな？鶴崎修功。
鶴｢あぁ、とっても｣
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作者名：1034 | 作成日時：2020年6月1日 21時
