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ヌナの涙は案外早く止まって、メイクも明るい場所で見なければ気付かない程の崩れ具合で収まった。

てっきりヌナが結婚してしまうと早とちりしていたから、今回の報告はかなり驚いている。
だけど当の本人は泣いてスッキリしたのかトークで話していたお土産らしき袋を渡してきた。



「これ、きっと喜ぶと思うな」

「ありがとう、今開けていいの?」

「どうぞ」




茶紙の袋からはお気に入りのブランドの外箱。
そういえばこのブランドはドイツメーカーだったと思い出した。
俺の好きなブランドをわかってる事に益々胸が高まってる。



「わぁ…ほんとに?これヌナが選んでくれたの?」

「もちろん」

「すごい、俺が欲しかったやつだよ!しかもドイツでしか買えない限定デザインだ!」




中身はまさかのドイツの店舗でしか買えない限定デザインのスニーカー。

発売前の情報を見た時からずっと気になっていたけどドイツなんて行く時間は無いし、ドイツでのコンサートも今の所予定は無いから諦めていたのに。

どうしてわかったの?
今の俺はまるでクリスマスプレゼントを開封する子供の様に見えているかもしれない。





「サイズは合ってるよね?」

「合ってるよ!すごいよヌナ、ありがとう!」

「そんなに喜んでくれるの?」

「うん、マジで嬉しい…大切にする」




今夜はきっとこの靴を抱きしめて寝ちゃうだろうし、ご飯を食べてる時も練習してる時も靴のことを考えちゃうだろうな。

靴自体も嬉しいけど、ヌナが俺のことを考えて選んでくれたのがたまらなく嬉しいんだよ。







「私ね、ジソンイはずっと私にくっつき虫すると思ってた」

「え、どういう意味?」

「子供の時、周りに馴染めずにいたあなたを心配してた。
このまま私としかコミュニティを築かずに大人になったら、って」



確かに心配されてもおかしくないくらいにはヌナにべったりだったかもしれない。
今考えたらすごく恥ずかしいけど、でもそれくらい子供だった俺はヌナの存在が支えだった。




「でもそれは私の自意識過剰だったみたい」

「え?」

「ジソンには辛い事を一緒に乗り越えてくれる沢山の仲間がちゃんと出来た。あなた達の活躍はちゃんと私の所まで届いてたよ」

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作者名:ばみ x他1人 | 作成日時:2023年10月25日 5時

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